叡智の三猿

〜森羅万象を「情報セキュリティ」で語る

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嵐に振り回されて免罪符

昨日は台風情報に振り回された1日でした。

外出をあきらめた時点で、予定は白紙です。ただ、現実はそう甘くありません。わたしの勤め先は、ここ数年で社員数が急激に膨らんだ会社です。そういう会社にありがちなのですが、組織の拡大に対して業務やシステムの整備が追いつかないまま今日に至っています。来月もまた多くの組織変更があります。それに合わせた社内システムの改修作業がたまってます。こういう仕事を担う人間が社内に多いわけではありません。在宅勤務で午前中はパソコンで会社のネットワークに接続しました。台風でも仕事はあります。誰かがやらなければならないからやるだけのことです。

台風の進路が気になってスマートフォンをみたら、妙なものを見ました。無関係な海外の洪水映像、根拠不明の避難情報——これは「インプレゾンビ」です。Xのインプレッション数に応じて、収益が支払われるプログラム(下表)を悪用し、バズっている投稿のリプライ欄に無関係なコンテンツを大量に貼り付けて回るアカウント群をさします。

累計インプレッション数 予想される収益の目安 特徴・現実的なライン
500万 imp(収益化の最低ライン) 約1,000円 ~ 5,000円 3か月の累計でこの額。お小遣い程度。
1,000万 imp 約3,000円 ~ 2万円 定期的なバズや、日常的な高浮上が必要。
1億 imp 約10万円 ~ 50万円 専門ジャンルや投資系など、単価が高い領域。

このゾンビは2024年から急増しました。そして、2026年現在も完全にはなくなっていません。2月にX公式がAPI経由のリプライに制限をかけ、3月には収益分配の見直しも発表されましたが、反発を受けて延期されました。対策は少しずつ進んでいるものの、まだ道半ばといったところです。

インプレゾンビを減らすには、まずスパムアカウントを見つけたらブロックやミュート、報告を活用することが有効です。また、引用や返信で反応すると投稿がさらに拡散される場合があるため、不必要に触れないことも大切です。Xに代表されるプラットフォーム側では、不自然な大量投稿や自動化された行動を検知する仕組みを強化し、収益化の条件を厳格化することが求められます。利用者一人ひとりが質の高い投稿を評価し、スパムに反応しない姿勢を続けることで、インプレゾンビが利益を得にくい環境が生まれ、健全なコミュニティの維持につながります。

インプレゾンビは、ソーシャルエンジニアリングの一種です。ソーシャルエンジニアリングは、技術的な脅威というより、人の心理(災害時の不安、情報への渇望)を利用して誤った行動を引き起こす手法です。また、セキュリティ界隈ではこの種の攻撃を認知戦(コグニティブ・ウォーフェア)という概念で語られることもあります。情報そのものを武器にした攻撃、という位置づけです。

仕事が一段落してから、以前から気になっていた Disney+の韓国ドラマ「伝説のキッチンソルジャー」を再生しました。銃の代わりに包丁、弾帯の代わりにエプロンを身につけた二等兵カン・ソンジェが、伝説のキッチンソルジャーへと成長していくコメディです。まだ4話までしか見ていませんが、設定のユニークさに引き込まれています。レビューサイトを見ると、大げさなリアクションを真剣にやりきる「真顔コメディ」が強烈とのコメントが多くあります。嵐の日の「だらだら」には不思議な肯定感があります。外に出られないという免罪符が、怠惰を正当な休息へと昇格させてくれる——もっとも、午前中に仕事を済ませた自分には、免罪符など必要ありません。

youtu.be

夜、雨は上がってきました。「キッチンソルジャー」を観ているうち、無性に韓国料理が食べたくなりました。ドラマの余韻が冷めないうちに、近所の韓国料理店(VEGEGO オヌレシクタン&カフェ)へ向かいました。オーダーしたのは、トッポギとサムギョプサルの定食。鉄板の上でじゅうじゅうと音を立てるサムギョプサル。とろけたチーズ、真っ赤なタレのトッポッキ、わかめスープ、サンチュ、小鉢の数々。

雨が収まった静けさの中、店員さんが湯気とともに韓国の夜を配膳しました。カン・ソンジェが作る飯は、画面の中でも美味しそうですが、現実もなかなか悪くないと思いました。

日曜日も仕事します。