先週、シュトレンを焼きました。いまさらですが、シュトレンは、ドイツの伝統的なクリスマス菓子です。ドイツ語では「Stollen」と書き、「坑道」や「トンネル」を意味する言葉ですが、その形状が由来となっています。

クリスマスが近づくと、毎年、焼いてますが、今回作ったシュトレンは粉がいいのか、我ながら上出来だと思いました。比較的最近、近所に「富澤商店」がオープンしたのですが、強力粉の品揃えの豊富さにビックリしました。
- 強力粉(250g)
- アーモンドプードル(50g)
- ドライイースト(6g)
- 無塩バター(150g)
- 溶き卵(1個)
- 牛乳(60cc)
- レーズン&ミックスナッツ(170g)
- ラム酒
- 発酵は1時間、180度のオーブンで30分焼き、溶かしバターを塗り、粉糖をまぶす。
発酵はカビ、酵母、細菌などの微生物が有機物を分解させる現象です。パンは酵母(イースト)が発酵の役割を果たします。イーストは糖分をアルコールと二酸化炭素に分解(C₆H₁₂O₆ → 2C₂H₅OH + 2CO₂ )します。パン生地を膨らませ、風味と香りを生み出す微生物です。発酵により、食品は栄養価があがり、保存性も向上させます。とても身体によいことです。
微生物が有機物を分解させるという意味では、発酵とは真反対の腐敗も同じです。その違いは結果が人間にとって有益か有害かという点だけです。適切な微生物を適切な環境でコントロールすることで、その分解は腐敗でなく、発酵になります。
その意味では、ビジネスを発展させるための重要な資源である「情報」も、コントロールの有無によって「発酵」にも「腐敗」にもなると考えます。
よく「情報は鮮度が命」と、いいます。
情報は基本的に生鮮食材といわれます。市場動向、顧客ニーズ、技術革新——これらの情報は、鮮度が高いとき、最大の価値を持ちます。新鮮な魚が市場で高値で取引されるように、タイムリーな情報は競争優位の源泉となる所以です。
職場の「報・連・相」が重要とされるのは、鮮度のよい情報をいち早く、報告、連絡、相談することがビジネスの基本とされます。
裏を返せば、情報は古くなると腐敗し、価値を失います。確かに時代遅れの情報を信じ続けたら、誤った経営判断の根拠となり、組織に有害な影響を及ぼすでしょう。
でも、情報を適切にコントロールすれば、古い情報も価値を失いません。たとえば、顧客との対話を継続的に記録し、変化を分析し、チームで共有するような行為です。過去の事例を学びに変え、失敗を改善のステップとして蓄積します。こうしたプロセスを経た情報は、高級ワインのように濃密なアロマとして熟成し、組織の知恵として発酵します。
その意味で CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理) は、四半世紀前から唱えられてるIT経営の概念ですが、依然として発酵の種です。顧客の声を真摯に聴き、製品やサービスの改善に活かし、結果をフィードバックする。この顧客との会話を循環する中で、情報は古いとか新しいとかの枠を超え、信頼という資産に変化します。
以前、法人向けクラウドサービスを提供する会社の顧客サポートを担当していました。本社内では壁に大きな契約数のカウンターを設置し、契約を勝ち取る毎に営業がカウンターをアップさせてました。500社→501社→ という感じです。アップしたカウンターが1000社になったとき、みんなで祝福しました。
クラウドサービス自体は、悪くはなかったのですが、顧客サポートの立場からみると、残念ながら「サービスの解約」を求める顧客もかなりいて、「いいことばかりではない」と、感じていたのも事実です。わたしの中では、契約数のアップよりも、解約の動向に関心がありました。
解約の申込に際しては「解約理由」を聞く項目があるのですが、そのなかには次のようなコメントがありました。
顧客は単なる取引相手ではなく、価値を創造するパートナーのはずです。顧客との長期的な関係を築くことは、持続可能な経営基盤を支えます。
ですので、情報を放置して腐敗させるか、シュトレンの如く、適切にコントロールして、発酵させるか・・・企業の未来を分ける選択だと思うのです。