叡智の三猿

〜森羅万象を「情報セキュリティ」で語る

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コインランドリーとインターネットのつながり

秋晴れに包まれたニュータウンは、親子に溢れ、活気がありながらも、穏やかな静寂を感じます。見上げると、青い空・・・そこにいわし雲が規則正しく並んでます。整然と並んだマンション街の間を秋風が通り抜け、イチョウやモミジは少し紅葉しています。落ち葉が歩道に彩りを添えています。

フリマにて古書の山みるいわし雲(スロトレ)

角地に建つ建物の1階に、大きなガラス窓のコインランドリーがあります。明るい店内は、最新のIoT対応洗濯機と乾燥機が稼働しています。

IoT(Internet of Things)とは、様々な機器がインターネットに接続され、相互に情報をやり取りする技術の総称です。ここの洗濯機もそうです。わたしのスマートフォンには各洗濯機や乾燥機の運転状況や、残り時間がリアルタイムで表示され、洗濯物の仕上がりまであと何分かが手に取るように分かります。

週末のコインランドリーは、一週間分の洗濯物をまとめる絶好の機会です。平日の忙しさから解放され、ゆったりした時間の中での洗濯はある意味で贅沢な時間だと思います。大きな乾燥機から取り出したばかりの衣類は、ふわふわで温かく、太陽光を纏ったような心地よさです。衣類や毛布をたたんで、IKEAの大きな青い袋に入れる瞬間は、何とも言えない満足感と安らぎです。大げさな言い方ですが、整理整頓された衣類が袋の中に収まっていく様子は、一週間の仕事の疲れを癒し、新しい週への準備を整える充実感を与えてくれるのです。

しかし、IoTがもたらす便利さの裏には、深刻なサイバーセキュリティの脅威が潜んでいます。たとえば、洗濯機の制御システムが改ざんされ、異常な高温設定や過剰な洗剤投入により機器の故障や火災を引き起こしたら!?・・・攻撃者は洗濯機のWi-Fi接続を通じて侵入し、デフォルトパスワードが変更されていない脆弱性を突いてシステムに不正アクセスする手口を使います。本来であれば設置時にパスワードを変更すべきです。でも、運用の省力化を優先して、この重要な作業が後回しにされることがよくあります。結果的に「admin」や「password123」など工場出荷時の設定が、そのまま放置されるケースが少なくありません。

また、洗濯機のファームウェア更新プロセスを悪用して、正規の更新に見せかけた悪意あるコードを送り込み、温度制御や回転速度などの安全機能を無効化する攻撃も想定できます。サイバーセキュリティの確保は、単なる利便性の観点で論じるものではありません。人命に関わる安全性の毀損につながる深刻なリスクと捉えるべきでしょう。IoTのサイバーセキュリティ被害は、私たちの身の回りにある機器を凶器に変える可能性を秘めており、日常生活の安全な環境そのものを脅かします。

IoT機器においても、通常のパソコンなどと同じく、定期的なセキュリティ更新と暗号化通信は必要不可欠です。

洗濯が完了するまでの待ち時間を過ごすわたしは、アプリで洗濯の進捗を確認しながら、そこから歩いて5分ほどの距離にある人気のパン屋「ひげパン」まで足を伸ばすことがあります。途中には、ガラス張りの近代的なBOSCHの巨大オフィスビルがそびえてます。ドイツの技術企業らしい洗練されたデザインが、ニュータウンに相応しいアクセントを加えています。BOSCHは産業機器、エネルギー・ビルディングテクノロジー、家電製品など幅広い領域を手がける会社として知られます。BOSCHのスマート家電には食器洗い機や冷蔵庫、洗濯機などがあります。これらの機器は遠隔操作や運転状況の監視、エネルギー効率の最適化などの機能を提供していますが、もちろんサイバーセキュリティリスクを抱えてます。適切な対策なしには安全な社会インフラの維持は困難です。

BOSCHのの広場では、フリーマーケットが開催されることがあります。手作りのアクセサリーや古本、地元野菜などの出店が並んで、家族連れで賑わっています。

「ひげパン」は開店当初から地域の評判を集めてます。週末の朝は行列ができる人気店です。特に自家製カレーパンが評判で、スパイスの効いた本格的なカレーがサクサクの生地に包まれ、多くの客が好んで買います。店内ではひっきりなしに客がパンをトレイに乗せていきますが、厨房では従業員たちが焼きたてのパンをどんどん補充してます。ですので、商品が在庫不足になることがありません。まさにジャストインタイム製造が実行されています。

www.three-wise-monkeys.com

なお、ジャストインタイムは、必要な時に必要な分だけ生産する手法です。在庫を最小限に抑えながら効率的な生産を実現するシステムを指します。この概念はもともとトヨタ自動車が開発した生産方式として有名ですが、自家製パン屋のような製造小売業では特に実現しやすい環境が整っています。なぜなら、製造から販売まで同一店舗内で行われるため、顧客の需要を直接観察しながらリアルタイムで生産量を調整できるからです。パンのように賞味期限が短い商品は、作り置きによる廃棄リスクを避けながら常に新鮮な商品を提供できる大きなメリットがあります。わたしも、BOSCHビルのフリーマーケットを覗きながら、ここの自家製カレーパンやクロワッサンを買い、洗濯の待ち時間を有効活用します。

コインランドリーによる洗い立ての洗濯物、パン屋さんの紙袋、フリーマーケットでの戦利品が、秋の午後の日常に溶け込んでいます。いわし雲が浮かぶ高い空の下で、あらゆるモノがインターネットでつながるIoT技術が生活を便利にします。

一方で、サイバーセキュリティの脅威は私たちの安全性を根本から脅かす可能性を常に秘めてます。適切な対策により守られる日常の尊さを改めて感じるいち日でした。