インフルエンザのワクチンを接種しました。
24日の厚生労働省の発表によると、令和7年第42週(10月13-19日)のインフルエンザ報告数が12,576件、定点当たり3.26件と前週比約1.4倍に増加したとのことです。休校13校、学年閉鎖63、学級閉鎖297と、増加しています。
急激な寒暖差。空気乾燥により喉の粘膜防御機能が低下し、インフルエンザに感染しやすくなります。これから気温も低下するでしょうから、爆発的な感染が起きるかもしれません。
インフルエンザの予防策として、マスク着用、手洗い・うがいの徹底、室内湿度 50-60% の維持、栄養バランスの取れた食事と十分な睡眠が推奨されています。
病院もワクチン接種で混雑してました。
これはウイルスの流行に加え、いま、世間を賑わせているアスクルのランサムウェアによるシステム障害の影響もあると思います。
「ランサムウェア感染によるシステム障害について(第2報)」より
(1)これまでの経緯
10 月 19 日(日) 午前 外部からの不正アクセスによる異常を検知
ランサムウェア感染の疑いのあるシステムの切り離しとネットワーク遮断を実施
16 時 30 分 「ASKUL」「ソロエルアリーナ」「LOHACO」の受注を停止
(2)障害発生の範囲
主に物流システム(WMS:Warehouse Management System)における障害の発生を確認しております。
(3)業務・サービスへの影響
WMS でコントロールする物流センター入出荷業務の停止により、引き続き受注をお受けできない状況です。
グループ会社 ASKUL LOGIST 社が受託している物流業務(3PL)も停止しております。
(4)個人情報・取引先等情報の外部流出
現時点では流出は確認されておりませんが、確認された場合には速やかにご報告いたします。システムイメージ図 ~(2025年10月22 日/アスクル社)ニュースリリース
アスクルのシステム障害により、医療現場で深刻な影響が広がっています。このままいけば、消毒用綿の在庫、医療用マスクも近く底をつくとされてます。医療機関では医療備品の多くをアスクルに依存しているところも少なくありません。
専門家は復旧に数ヶ月かかる可能性を指摘してます。これが、インフルエンザ流行期と重なり医療現場の不安は高まっています。
ですので、医療備品が在庫の底をつくまえに、ワクチン接種を求める患者が多くなっているかもしれません。
コンピュータにもウイルスがあります。1980年代から1990年代頃には、コンピューターウイルスを検出・駆除するソフトウェアを「ワクチンソフト」と呼ぶことがよくありました。これは生物学的なウイルスとワクチンの関係からの比喩的な表現でした。
しかし、いまはあまりその言葉は聞きません。
現在では、同じようなソフトウェアを以下のように呼ぶことが一般的です:
- アンチウイルスソフト
- セキュリティソフト
- マルウェア対策ソフト
ウイルスに有効な「ワクチン」という言い方は、日本特有の表現でもあったので、グローバル化に伴って使われなくなった側面もあるのでしょう。
一方で「ランサムウェア」という言葉は、非常に多く登場します。アスクル以外でも、最近はアサヒグループホールディングスや、KADOKAWAなどの大手企業も被害を受けています。
では、ランサムウェアはウイルスの一種か?という疑問が出るかもしれません。
これは少しややこしいのですが、ウイルスとランサムウェアは、分類の軸が違います。分類の軸を超えて、マルウェアという言い方が一般的ですね。
ウイルスは、増殖の仕方に対する分類のひとつです。ウイルス以外にも、ワームやトロイの木馬があります。
- ウイルス:他のファイルに寄生して自己複製
- ワーム:単独で動作し、ネットワーク経由で自律的に拡散
- トロイの木馬:無害を装って侵入、自己複製しない
一方、ランサムウェアは、目的や挙動に対する分類のひとつです。これは、ランサムウェア以外にもたくさんの言葉があります。
- ランサムウェア:データを暗号化して身代金要求
- スパイウェア:情報を盗む
- バックドア:不正アクセスの入口を作る
- アドウェア:広告を表示する
- キーロガー:キー入力を記録
すなわち、ウイルスとランサムウェアは分類の軸が違うので、「ランサムウェアはウイルスの一種か?」という疑問に対してはー
- ランサムウェアの中には、自己複製機能を持つもの(ウイルス型)もある
- ランサムウェアの中には、ネットワーク経由で自律的に広がるもの(ワーム型)もある
- ランサムウェアの中には、自己複製せず、偽装して侵入するもの(トロイの木馬型)もある
というのが答えになります。
ランサムウェアのような「目的や挙動に対する分類」は、ウイルスのような「増殖の仕方に対する分類」よりも歴史は新しいです。明確な時期は分かりませんが、2000年代に入ってからだと思います。
ランサムウェアは、2000年代中頃から存在してますが、本格的に注目されたのは2010年代半ばです。2017年の「WannaCry(下図)」の大規模攻撃で世界的に認知されました。ビットコインなど暗号通貨の普及が、ランサムウェアの実用化を後押ししたのです。

いま、マルウェアは「組織的な犯罪活動」に変化してます。そのトレンドが「何をするか」という分類が実用上重要になったのでしょう。
