叡智の三猿

〜森羅万象を「情報セキュリティ」で語る

当サイトは、アフィリエイト広告を使用しています。

「ジョブ型雇用」の推進と中小企業の現実

9月に入り、就活生のかなりの人が内々定を取得していると思います。大手の会社は来月に内定を出すでしょう。

いま、日本は政府が主体的に雇用の流動化を推進しています。「ジョブ型雇用」が叫ばれるようになった2022年以降、かなり顕著です。

日本企業の競争力維持のため、ジョブ型人事の導入を進める。
従来の我が国の雇用制度は、新卒一括採用中心、異動は会社主導、企業から与えられた仕事を頑張るのが従業員であり、将来に向けたリ・スキリングがいきるかどうかは人事異動次第。従業員の意思による自律的なキャリア形成が行われにくいシステムであった。個々の職務に応じて必要となるスキルを設定し、スキルギャップの克服に向けて、従業員が上司と相談をしつつ、自ら職務やリ・スキリングの内容を選択していくジョブ型人事に移行する必要がある。
~「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2024 年改訂版」

雇用が流動化することで、労働市場の柔軟性を高め、人材の適切な配置や経済の活性化を目指す方針のようです。雇用保険の教育訓練給付を拡充し、労働者がスキルアップを図りやすい環境を整えるための「リ・スキリング」や、柔軟な働き方の選択肢を拡大させるなどです。

わたしは長く中小企業で働き、採用にも多くの時間をかけて仕事をしてました。

その感覚からすると、国の方針は「明後日の方」をみているようです。そもそも、人材が採用できず苦労してます。せっかく採用した人材が、去ってしまったら、採用にかけた苦労は水の泡になります。国は大企業をみて、あるべき人材活用の方向性を出しているのかもしれませんが、日本の企業の99.7%は中小企業です。従業員全体の約7割は中小企業で働いています。経済を活性化するには、大企業を見るより、中小企業が活性化するような方策を打ち出して欲しいと感じます。

わたしが務めていた会社もそうですが、多くの中小企業は、大企業との取引に依存してます。わたしが運営していた事業では、取引先の上位3社で、売上の8割を占めてました。上位3社はいずれも大企業です。大企業から安定した受注を貰えることで、会社は安定した業績を維持できます。そのためには、特定の取引先から大きな信頼を貰えることが、何よりも重要な経営戦略です。

中小企業は特定の大企業からの委託によって、事業を運営しているため、従業員に求められるスキルは特定領域に絞られてます。それは、リ・スキリングと呼ばれる教育によって、容易に身につくものではなく、現場経験がモノをいいます。

ですので、一度、確保した人材は、じっくりと業務に専念してもらい、定着して欲しいと考えます。人材が流出してしまと、取引先からの信頼を失いかねません。

なぜなら、中小企業の従業員は取引先の大企業のことをとてもよく知ってます。そのなかには、機密情報(公開していない情報。個人情報や営業秘密など)が含まれることがあります。大企業から見ると、取引している企業の従業員が転職することに情報漏えいのリスクを感じます。

それでなくとも、昨今は「サプライチェーン攻撃」の脅威が深刻さを増してます。

大企業は程度の差こそありますが、一定水準の情報セキュリティ対策を施してます。そこで、機密情報を搾取したい攻撃者は、大企業を直接攻撃するのを避け、大企業が取引している中小企業を狙います。サプライチェーン攻撃は、調達から販売、業務委託等一連の商流において、セキュリティ対策が甘い組織を攻撃の足掛かりとするサイバー攻撃の総称です。

典型的な手口は、攻撃者はソフトウェアやサービスを改ざんしてマルウェアを仕込みます。そして、中小企業の従業員がマルウェアが仕込まれたソフトウェアのインストールや、サービスを利用することで、自分が使う機器がマルウェアに感染します。そうすると、機器にある取引先の大企業が保有する機密情報を搾取することに成功します。

サプライチェーン攻撃のイメージ

政府はもっと、中小企業が積極的に情報セキュリティ対策を行うような取り組みを推進すればいいのになと思うことがあります。いまは、中小企業が自発的に対策をしない限り進みません。

たとえば、中小企業に対し、ウイルス対策ソフト導入やパスワード管理を義務づけ、その費用を国として補助する仕組みや、情報セキュリティの診断を無料で提供するなどです。

IPA(情報処理推進機構)は「SECURITY ACTION」という中小企業自らが、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度を設けてます。この制度は、以下の5か条に取組むことを宣言することを求めてます。

  1. OSやソフトウェアは常に最新の状態にしよう!
  2. ウイルス対策ソフトを導入しよう!
  3. パスワードを強化しよう!
  4. 共有設定を見直そう!
  5. 脅威や攻撃の手口を知ろう!

このような取り組みをする企業を技術面、費用面、人材面から支援することに意味があると思います。