まだまだ残暑が厳しい日々です。
カッサータを作りました。

ー原料ー
- クリームチーズ200g
- 生クリーム200g
- 砂糖60g
- 梅シロップ小さじ1杯
- ドライフルーツ適量(130gくらい?)
カッサータは、イタリア(シチリア島)発祥のアイスケーキを指します。ドライフルーツやナッツをクリームチーズにたっぷり混ぜ込み、冷凍して固めたスイーツです。
冷やして味わうことで、爽やかでクリーミーな口当たりが広がります。クリームチーズの軽やかなコクと、ドライフルーツの甘酸っぱさ、ナッツの香ばしさが心地よい感じです。いっぺんにペロリといってしまいそうで怖い・・・。
作る過程で生クリームを泡立てたとき、空気を混ぜ込んだ乳脂肪と、たんぱく質のネットワークにより、角が出る現象を見ながら、むかし勤めていたメーカーのアイスクリーム工場を思い出しました。
カッサータと同じく、アイスクリームも製造過程で「空気を含ませる(オーバーランといいます)」ことで、ふんわり軽い食感になります。空気の含有率は製品によって決まってます。いわゆる100円アイスは、容積の50%くらいが空気で、かなり含有率が高い状態です。いっぽう、高級アイスは20%と、低く濃厚で重い食感が特徴です。
- オーバーラン(%)=(原料容量出来上がり容量−原料容量)×100
わたしはそのメーカーで、サプライチェーンの生産管理システムを構築していたのですが、アイスクリームを製造するにあたって、空気という原料の扱いが難しかったのを覚えてます。空気には原料費がなく、扱う単位が%であることから、BOMでの表現が普通ではないのです。

- BOM:「Bill Of Material」の頭文字をとったもの。製品を生産するために必要な部品の種類と数量などをまとめた、モノづくりの基本情報。日本語では「部品構成表」「配合表」「レシピ」などと呼ばれる。
工場で出来立てのアイスクリームは、「それそれは美味しいのです!」。安価な100円アイスでも、出来立てのアイスは異次元です。夏場の工場で製造現場から汗だくになり、事務所に戻り、出来たての100円アイスを食べたときの感動は仕事を離れてもよく覚えてます。
これは、出来立てのアイスは、空気の泡が多いため、舌に触れる表面積が広がり、香りや甘みが広がりやすくなるからです。また、アイスの製造工程で、氷の結晶が出来るのですが、出来立てのアイスは結晶がとても小さい状態で保持されます。これが滑らかさを演出します。
わたしは、異次元のアイスを食べながら、「こんなに美味しいのに、スーパーで安売りされるのは、もったいないな~」と、思ってました。
これ、工場見学をして、最後に出来立てのアイスを食べる体験ツアーを企画したら、絶対喜ばれますよ!
生産管理の部長にそういう話をしたことがありました。でも、部長からは「それは、とてもいいアイデアなんだが、逆にお店で買うアイスを不味く感じてしまって、クレームになる可能性もあるんだよね。」と、会社の立場にたてば、「それはその通りだよな~」と、思う言葉で返されました。
おそらく、アイスクリームの美味しさを消費者に届けるには、「即出荷&小ロット生産」がキーワードのはずです。しかし、現実のアイスクリーム工場は、夏のピーク需要にあわせて、平準化による見込生産を行い、冷凍倉庫に在庫として貯めてます。アイスクリーム工場はライン設計上、大量生産・長時間稼働を前提にしていることが多く、少量多品種や急な計画変更に対応しづらいという構造があります。
- 平準化:生産量と生産品目の変動を最小限に抑え、一定のペースで安定して製造を行う生産手法。
- 見込生産:製品の需要を予測し、受注の前に一定量を生産しておく生産形態。
需要予測の精度をあげることで、見込生産でも需要変動のよる在庫リスク(過剰在庫、欠品)を抑えられるかもしれません。
ただ、従来型のアイスクリームの需要予測は、過去の販売実績をベースとした季節モデル(売上高など時系列データが持つ季節的な周期変動を指数化した値を予測に当てはめる手法)が主体です。これは強固なベースではあるのですが、直近の需要変動の影響を考慮できていないことが弱みでした。
当時、アタマのなかでこんなデータも、予測に組み込めたらいいのにな~と思うのはいくつもありました。
- 店頭での販売実績(POS)
- 天気予報(アイスクリームの需要においてかなり大きな影響を与えます)
- 競合他社の販売計画や実績(計画はセキュリティ上、難しいと思いますが、実績だけでも取れたらいいのにと思ってました)
- 組み合わせによる変動(例:バニラだけを販売する場合と、バニラとチョコレートを組み合わせて販売すると、どれだけ需要に影響を与えるか?)
- トレンド情報(当時はテレビ番組での紹介、いまならSNSの口コミ)
「多変量解析モデル」を使うことで、複数の変数に関するデータをもとに、これらの変数間の相互関連を分析する手法に取り組んでました。下記の多変量回帰式で、b1・・bkなどが、偏回帰係数(他の変数の影響を固定したときの、ある説明変数の影響の大きさ)、x1・・xkなどが、独立変数です。b0 は切片になるので、過去の販売実績を指数平滑で求めた恒常値として固定します。
- Yi(予測値)=b1x1+b2x2 +b3x3+・・・・・bkxk+b0
しかし、会社として取得可能なデータは、販売実績くらいしかなく、結局のところ「多変量解析モデル」は絵に描いた餅です。
さらなるAIの進化に期待したいところです。