麻布台ヒルズで開催されている「チームラボボーダレス」を鑑賞してきました。

チームラボボーダレスは、デジタルアートを使った体験型のミュージアムです。ボーダレスが意味するのは、よくある美術館のような「作品が展示されてる場所」をめぐる感じではなく、建物全体が光を通じて一つの大きなアート空間という感じです。
特徴は、作品が部屋から部屋へ移動したり、他の作品と混ざり合ったりすることです。だから、自分がどこにいても、作品と一緒に歩き回ってる感覚になります。わたしは「そうは言っても、美術館だし、一時間もいれば充分かな?」と、思って入ったのですが、結局3時間以上、滞在しました。
特に面白かったのは、自分が描いた塗り絵をスタッフがスキャナーしてくれて、水族館のように塗り絵が光のアートとなって、空間を彷徨う演出を体験したことです。

また、館内には「EN TEA HOUSE - 幻花亭」というカフェがあります。暗闇のカフェですが、配られたお茶に花が生まれ咲いていきます。花々はお茶がある限り無限に咲きます。

アートを見た帰り、電車のなかで「ボーダレスに彷徨うアート」という意味で、わたしはムソログスキーの「展覧会の絵」を連想しました。有名なクラシックなので、知っている人が多いと思うのですが、この組曲は友人の画家ハルトマンの作品を見て感じたことを音楽で表現してます。「プロムナード」が美術館の廊下を歩くテーマで、次々と絵画を観ていきながら、気分が変化していく体験です。
チームラボボーダレスが「デジタルが、アート同士をボーダレス化させている」のに対して、展覧会の絵は「音楽で絵画のイマジネーションをボーダレス化している」と言えそうです。
両者に共通するのは「アートが独立して存在するのではなく、アートを体験する中で、境界がなくなる」ことです。
それは「情報」についても同じことが言えると思います。
ネット空間にはあらゆる情報が飛び交ってますが、それらは本質的にはボーダレスな性質です。
しかし、情報がボーダレス化してしまうことで、生じる個人的な問題や社会的な問題を回避するため、「情報セキュリティ」の壁を設けることで、情報を種類によって遮断します。
そしてネット空間は壁によって、サーフェスウェブ(Surface Web)、ディープウェブ(Deep Web)、ダークウェブ(Dark Web)という個別の空間を形成します。これらの呼び方は、インターネットの氷山モデルとして紹介されます。
- サーフェスウェブ(Surface Web):一般的に私たちが普段使っているウェブ空間。GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索して表示される範囲。全体の10%程度とされる。
- ディープウェブ(Deep Web):検索エンジンで直接は見つからない領域。パスワードで守られたメールやクラウドストレージ、企業なシステムなど。全体の90%程度とされる。
- ダークウェブ(Dark Web):特殊なソフトや設定を使わないとアクセスできない領域。「Tor」などの匿名化ツールを利用したネットワーク。全体の0.1%程度とされる。

先に書いたとおり、情報は本質的にボーダレスですので、それぞれの境界は物理的な壁はなく、技術的な仕組みによって形づくられています。
氷山の一角である、サーフェスウェブは、検索エンジンが自動的に巡回してインデックス化できる範囲を特定します。つまり、ページがリンクで辿れる状態にあり、クローラーがアクセス可能な公開領域です。対してディープウェブは、そのクローラーが入れない仕組みによって隔てられています。その手段で、代表的なのはログイン認証によるアクセス制御です。要はパスワードを入力しない限り外部からは内容を見られません。また、検索エンジンにインデックスさせないよう指示を埋め込んだサイトもここに含まれます。
氷山の底にあるダークウェブは、単に検索されないのではなく、通常のブラウザやプロトコルでは到達できないよう、暗号化通信と特殊なアドレス体系で守られています。Torのような匿名化ネットワークを利用してはじめて接続できるため、匿名性が高く、外部からの追跡や検閲を回避できる構造となっています。
こうして技術的な制御や暗号化が、それぞれの空間を分ける「見えない壁」となっているのです。
いつの日にか、セキュリティの壁は溶けて、情報が完全にボーダレス化されるときが来るのでしょうか!?もし、そうなった場合、わたし達はよりハッピーになるのでしょうか!?
それに対する答えは、幼いころ見た「ウルトラセブン(第8話「狙われた街」)」のエンディング・ナレーションにありそうです。
人間同士の信頼感を利用するとは恐ろしい宇宙人です。でもご安心ください。このお話は遠い遠い未来の物語なのです。 え、何故ですって? 我々人類は今、宇宙人に狙われる程、お互いを信頼してはいませんから。