新宿・歌舞伎町の東宝シネマで、チャウヌのVRコンサート「CHA EUN-WOO VR CONCERT : MEMORIES」を鑑賞しました。
観客はほぼ女性です。VR(Virtual Reality)ゴーグルを装着し、動画が始まると、まるでチャウヌが目の前にいるかのような没入感を覚えます。観客席からはどよめきが起きました。
VR作品は通常の映画のような作り手側による一方的な配信ではありません。今回の作品のなかでは、思い出の品、写真、場所 などを観客が3つの選択肢から選ぶ場面が3回挿入されてます。これは事前に認証した手の動きを作品中で登場するパネルにあてはめます。
いわば物語の展開を観る側も一緒に作り上げていく体験型のコンテンツです。
いまのVRはゲーム、劇場エンターテイメントや、不動産の内見などの一部の業務用の利用に留まってます。今後、リモートワークや教育での活用が普及すると、いつでもどこでもVRという時代が来る可能性もあるでしょう。
いっぽう、たとえばAppleが意欲的に進めていたMR(Mixed Reality)ヘッドセット「Vision Pro」の開発が、中止されるニュース(25年1月)もありました。これは、需要が追いついてないからです。
2022年に、ユーキャン新語・流行語大賞のノミネートされた「メタバース」もそうですが、仮想現実の世界は本当に普及するのでしょうか!?注目されつつも、限定的な需要に留まるだけかもしれません。
わたしが今回、装着したゴーグルはやはり重みを感じました。ウヌの作品は1時間にも満たないので、重みはさして気にはなりませんでしたが、長時間、これを装着すると首を痛めそうです。
VRが普及する前提条件は、ハードウェアの軽量化は絶対必要だと思います。もちろん、価格低下も絶対条件です。利用する障壁が低くなれば、仕事の会議、オンライン教育、エンターテインメントの主要な手段として、VRが定着するかもしれません。いまは、誰もがスマホを持ち歩きますが、VRがそれにとって変わるプラットフォームの地位を確立する可能性もなくはないといったところでしょうか!?
また、VRがもたらす情報セキュリティへの影響も気になります。
今回、VR作品を上映するまえ、事前に視線の追跡(アイトラッキング)や手の動きなどの生体データを収集しました。このデータの取得は、映像の世界に没入させるために必要な措置です。よくVRで「酔う」という話を見聞きします。「CHA EUN-WOO VR CONCERT : MEMORIES」を観た際、わたしはまったく酔いませんでしたが、「酔う」人がいても不思議ではないと思いました。
VR酔いは、目で見ている方向と、画面の動きがズレることで生じるものです。事前にアイトラッキングを正しくすることで、視線の中心だけ高精細に描画し、周辺は粗くすることで、違和感を減らす効果を提供します。
ただ、生体データが変に悪用されないかは注意しておきたいことです。生体情報をその場の映像を安心して観るだけに使用し、その後は廃棄されるのであればいいのですが、アイトラッキングから、自分の関心や、健康状態など、プライバシーに関わる情報を勝手に収集される可能性は否定できません。
また、VRコンテンツがサイバー攻撃により、意図的に改ざんされるかもしれません。VRデータは、容量が大きく、広い帯域を使用するので、ネットで配信する際、通信の暗号化はされても、データの暗号化まではされないでしょう。なぜなら、暗号化されたデータを復号するにあたって、スループットによる遅延があるからです。動画の動きが悪くなると、視聴者に余分なストレスを与えます。暗号化は重要なセキュリティ対策ですが、利用のしやすさとのバランスを考えると、おそらく進まないと思います。
そこに攻撃者がつけ込み、VR酔いを意図的に引き起こす攻撃や、視聴者の精神を錯乱させる操作をしたら怖いと思います。
物理的なリスクも気になります。VR作品を視聴すると、わたし達はその世界に没入しますが、実際のわたし達はそこにはいません。劇場のなかでVRを鑑賞するのであれば、スタッフが見守ってくれるので安全ですが、どこで鑑賞しても身体の安全が確保されている訳ではありません。ゴーグルで目を覆われ、周囲がまったく見えない状態で、心のなかも、そこにあらず状態を狙って、盗難や危害を加える攻撃者がいるかもしれません。
VR技術の普及は、情報セキュリティ分野に根本的な変革を促し、従来の防御概念を拡張した新しいアプローチが求められることになりそうです。
鑑賞後、久しぶりに歌舞伎町入口にあるタイ料理店「バンタイ」に行きました。
相変わらずの行列店でした。
香辛料の効いたエスニック料理で、体の中から元気をチャージしました。
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この暑さをスパイスで吹き飛ばした気分になりました。