叡智の三猿

〜森羅万象を「情報セキュリティ」で捉える

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紫陽花の頃が過ぎ 心淋しい季節がくる

実家(東京都日野市)近くの高幡不動尊では、6月1日~6月30日まで「あじさい祭り」が開催されてます。いまが一番の見頃だと思います。

昨日は紫陽花を鑑賞するにはうってつけの雨模様のお天気でした。濃淡の青や紫が、雨粒がついた緑の中でひときわ冴え、赤い五重塔を彩ってました。山あじさいが咲き乱れる細道は、大勢の外国人を含む観光客で埋まってました。

紫陽花にまつわる歌は数多くありますが、わたしは昔のアリスの曲を懐かしく思い出します。

愛の故郷はどこにある
あなたは私に たずねたけれど
答えることは 出来なかった
あの時感じた 胸さわぎが
やがてくる別離を 教えてた
紫陽花の頃が過ぎ
心淋しい季節がくる
けれど私は一人きり
~「紫陽花(アリス)1975年」

いま聞くと、さすがに時代を感じます。この歌はアリスがメジャーになる前の曲です。アリスが有名になり、ベストアルバムを購入しました。その中に入っていた曲で、中学時代によく聞きました。

そのときは、特に歌詞の意味を考えずに、曲を聞いてました。改めて歌詞を見ると、この「紫陽花」は、花言葉である、移り気や浮気を指してることが分かります。紫陽花は、花の色が咲き進むにつれて変わることから、それを人の気持ちの変わりやすさを表す意味にしてます。

本命がいるにも関わらず、浮気していた自分が、それが終わった後で、本命もいなくなり、寂しさを感じるという・・・「身から出たサビ」のような歌です。

私たちは、意思決定において、感情や直感に引きずられ、合理性を欠くことが時としてあります。たとえば、競馬で負けが込んでいるにも関わらず、「そろそろ万馬券が出る気がする!」と脳が感じて、さらに無駄に馬券を購入するなどです。

確率に基づいた合理的な判断よりも「ツキ」を優先しているのです。

見方によれば、これは「その場が良ければいい」とする、刹那的な防衛本能かもしれません。ただ、合理性のない判断は、人間の脳の脆弱性を示してます。

人間の脳の脆弱性は、むかしから情報を搾取するための攻撃になります。

スパイ活動をする人が、色仕掛けで相手を誘惑し、機密情報を得たり、不利な状況に陥れたりする「ハニートラップ」など、典型です。

小久保くんは、ある製造業の設計部門で働く優秀なエンジニアです。

最近SNSで知り合ったX子さんと親しくなりました。いつも会社と家を往復する小久保くんにとって、X子さんとの出会いは刺激になりました。何度か食事に行き、毎日チャットをする仲になりました。

X子さんは小久保くんが話をするたびに、「設計が出来るってすごいよね!」「そういう論理的な頭、尊敬する!」と言います。

ある日、Xさんからこんなチャットが届きましたー

実は、わたしの友達があなたの業界の研究をしていて、論文を書くための、参考資料を探しているみたいなの。別にあなたの会社の設計情報じゃなくてもいいから、参考になるようなものがあれば、見せてくれると嬉しいな

小久保くんはどんな回答をするべき?

設計資料の一部なら社外にも出してるし、問題なさそうな範囲のものを送るよ
会社の資料は渡せないけど、仕事の話なら今度、もっと詳しく話してもいいよ
悪いけど、設計に関する情報は機密情報だから、具体的なことは話せないんだよ





答え:ウ
このパターンは典型的なハニートラップによる情報搾取です。人間の心理的な隙や、行動のミスにつけ込んで個人が持つ秘密情報を入手する犯罪をソーシャルエンジニアリングと呼びます。

X子さんは、好意的な言動で、小久保くんとの信頼関係を築き、次第に機密情報を引き出すような誘導をしています。

親しい仲になっても、「機密情報は守る」という一線を越えてはいけません。