ふとした思い付きで、久しぶりに「Charlie and the Chocolate Factory(Roald Dahl)」を読み返しました。
15年くらいまえ、3年ほど英語多読(SSS)にハマっていた時期がありました。そのときは、1週間に1冊の洋書を読むことを目標にしていました。
書棚には150冊近くの洋書があります。
その多くは児童向けの作品です。
多読において、SSS(英語多読研究会)では、3つの原則を定めてます。
- 辞書は引かない(引かなくてもわかる本を読む)
- 分からないところは飛ばして前へ進む(わかっているところをつなげて読む)
- つまらなくなったら止める(1、2 の原則で楽しく読めない本は読まない)
この原則はスンナリ、わたしの腹のなかに落ちました。原則を守った多読をすることで、それまでは抵抗感のあった英語の文章を読むことが苦にならなくなりました。
SSSでは、洋書を日本人の読みやすさに応じて、レベル1から6に分かれ、それぞれのレベルに応じて、推薦する本を紹介してます。
Charlie and the Chocolate Factoryは、ジョニー・デップ主演の映画でもよく知られてます。洋書としてはレベル5なので、ある程度、洋書を読むことに抵抗感がない人におすすめの作品です。
Wonka氏が経営するチョコレート工場に、チョコを買った人が招待されるお話です。招待された5人の子どもは、Charlieを除いたら、誰もがやんちゃで行動を乱します。そんな子どもには報いが・・・
著者のRoald Dahlは、イギリス人の作家です。作品からチョコレート工場から発する甘い匂いが漂ってきそうなワクワク感と、後半では奇想天外な出来事に、アタマが追いついていかなくなりそうな感じでした。
チョコレートについて考えたら、ゴディバをはじめとして世界的なブランドが多数あります。その多くはヨーロッパ発祥です。わが家では、ときどき、テナントに入っているリンツチョコの量り売りで、いろんなフレーバーを補充してますが、リンツもスイスのチョコレートメーカーです。
いっぽう、チョコレートの原料はカカオ豆で、豆を栽培する農家は、コートジボワールやガーナなどのアフリカ諸国が主要な原産地域になってます。
わたし達が美味しいチョコレートを食べるまでには、下の図のようにカカオ農家からはじまる長いサプライチェーンを経る必要があります。

ITプロジェクトで、食品工業の生産管理システムを構築する案件があり、チョコレート工場を見たこともあります。製菓のなかでもチョコレートは、ガムに比べると美しいツヤを出す為の温度調整の工程が複雑だと思いました。ただ、食料品工業ですので、軽工業であることに変わりはありません。軽工業の生産設備を整えるのは、重化学工業の比ではありません。
もし、カカオ豆を栽培しているアフリカで、Wonka氏のようなチョコレート工場をつくり、製造まで担うようになれば、いいように感じます。どの国の子どもも Charlie と同じでチョコレートが大好きです。チョコレート工場を見学して、働いてみたいと思うでしょう。アフリカ諸国でより多彩な雇用と、お金が回ると思います。
でも、現状はカカオ豆の栽培による収入がサプライチェーン上の取り分となります。
国内でチョコレートの製造を手掛けるのはリスクも伴います。チョコとして製品化されることで、カカオ豆自体の輸出は減ります。また、チョコレートは商品です。カカオ豆のように栽培すれば確実に売れる保証はなく、販売するための戦略が必要です。
アフリカでも、起業家がチョコレートブランドを立ち上げて市場を創造する動きがあります。ただ、全体としては製品化するリスクを回避して、原料の販売に甘んじているように見えます。
農家の取り分は、100円で販売されているチョコレートで、3円程度とされます。生産者を守るフェアトレードの取り組みでは、より多くのお金が農家に回りますが、それでも10円程度のようです。しかも、フェアトレードの農家として採用されるには、児童労働がされてないなど、高いハードルがあります。すべての取引がフェアトレードになるとは想像できません。
カカオ豆に限ったことではありません。
アフリカは石油や天然ガスやダイヤモンドなど、価値の高い資源の宝庫です。その宝を武器にすれば、もっと豊かになるはずです。でも、GDP(国内総生産)はアフリカ全体で日本の半分程度です。
この原因はやはり長年、ヨーロッパに支配された歴史があります。国境は民族の区分けを無視してひかれたことで、国としてのまとまりが希薄とされます。
期待もあります。
アフリカでは平均年齢が19歳です。若いということは何にも増して、発展の原動力になりえるかもしれません。