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AI予測:米中貿易戦争の行方

トランプ大統領による相互関税が世界的な影響を及ぼしてます。

特に米中貿易戦争はかつてない規模で激化しています。​米国は中国製品に最大145%の関税を課し、中国も報復として米国製品に最大125%の関税を導入しました。

この状況を生成AIはどう予測するのか気になりました。大規模な追加関税を仕掛けられた中国の生成AIである​DeepSeekと、関税を仕掛けた米国の生成AIであるChatGPTの予測は一致するのでしょうか?

DeepSeekの予測

シナリオ1:全面貿易戦争の長期化(確率40%)

  • 米中が関税撤廃条件として互いに非現実的な要求(例:中国の産業補助金全廃、米国の技術規制解除)を突き付け、膠着状態が続く。
  • 世界GDPが年0.5-1.0%押し下げられ、新興国市場で債務危機が発生。

シナリオ2:部分合意による緊張緩和(確率50%)

  • 特定分野(農産物・医薬品)で関税免除などの暫定合意が成立し、金融市場が一時安定化。
  • ただし技術規制や地政学問題は未解決のまま残り、長期的な対立構造が持続。

シナリオ3:新冷戦への移行(確率10%)

  • 貿易戦争が経済安全保障戦争へ拡大し、ブロック経済化が進展。
  • 米州・欧州と中露陣営の分断が深まり、デジタル通貨や決済システムの分極化が加速。

【結論】

  • 短期的には関税撤廃に向けた具体的な進展は見込みにくく、2025年末までに部分合意が最有力シナリオと考えられます。ただし、米中の構造的な対立(技術覇権・地政学)が解消されない限り、貿易戦争は新たな形態で長期化する可能性が高いでしょう。今後の焦点は、2025年11月の米中間選挙と中国共産党第21期三中総会(予定)での政策調整にあります。
ChatGPTの予測

交渉再開の可能性

  • トランプ大統領は、中国との「歴史的な取引」に楽観的な姿勢を示しており、交渉再開の可能性があります。 ​

デカップリングの進行

  • 両国の対立が続く中、企業は中国依存からの脱却を進めており、経済のデカップリングが進行しています。 ​

地政学的リスクの増大

  • 南シナ海や台湾海峡での緊張が高まっており、軍事的な対立のリスクが増大しています。 ​

【結論】

  • 現在の米中貿易戦争は、関税の応酬による経済的な損失だけでなく、地政学的な緊張の高まりや世界経済への影響も含め、極めて複雑な状況となっています。​今後の展開は、両国の交渉姿勢や国際社会の対応によって大きく左右されるでしょう。

AIの予測はなかなか、興味深い結果だと思いました。

DeepSeekは、「貿易戦争の長期化」をいちばんの可能性として挙げてます。この予測は、中国外務省の報道官が会見で明らかにした「中国は今後も断固として有力な措置を講じ、自国の正当な権益を守り続けていく。関税、貿易戦争を仕掛けるなら中国は最後まで応じるつもりだ」という発言を裏付けしているように見えます。

一方、ChatGPTは、中国との交渉再開による貿易戦争の緩和の可能性に言及してます。トランプ大統領は、アメリカの製造業の復活を目的として、関税を交渉の材料に使おうとしているのは、明白です。対話を予測するChatGPTは、やはりアメリカの立場から見た貿易戦争の行方を予測しているように見えます。

DeepSeek も ChatGPT も共通して予測しているのは、経済のブロック化が進む可能性です。米国と中国の経済的なつながり(貿易・投資・技術・サプライチェーン)が、切り離されることで、経済圏が分断される可能性です。

ナイキなどアメリカのグローバル企業は、かって中国で工場を稼働させてました。そこから、インドやベトナムなどの他国へ生産拠点を移す動きは、トランプ政権以前からあります。それがより加速することになりそうです。

また、地政学的なリスクがより深刻になることも共通した予測です。

これは日本にとって大きな影響を与えるリスクです。地理的に日本は中国との距離は近く、日本とアメリカの距離は遠い関係です。日本はこの距離の差を使い、遠くのアメリカと仲良くして、近くの中国に対抗する動きをとってきました。

歴史上、秦の宰相の范雎(はんしょ)は、「遠交近攻」の策をとり、秦の天下統一を後押ししました。遠交というのは、遠くの国と同盟や友好関係を結ぶことです。遠い国は脅威が少ないので、友好を維持しておくのが得策です。近攻とは、地理的に近い国を攻めることです。

「遠交近攻」の戦略は、日本がアメリカという遠方の大国と強く結びつき、地理的に近い中国にけん制をかける意味合いで、似ています(実際には日本は中国を攻めているわけではありませんが・・・)。

トランプ政権は相互関税のみならず、いまの日米の安全保障の在り方についても懸念を表明してます。

可能性は低いと思うのですが、日本とアメリカの関係が悪くなると「遠交近攻」が「遠攻近交」に変わるかもしれません。近隣の超大国である中国と接近し、かつての同盟国のアメリカと距離を置く政策です。

このとき、日本は中国の従属的な国となり、独立性は低下することになると思います。