昨日は新大久保にある人気の韓国レストラン、プングム本店に行きました。
このお店はランチでも事前予約ができるので重宝します。駅から右に曲がり真っすぐ歩いて5分。分かりやすい道のり。店内は広くて清潔です。
ここは、韓国料理で食べられないものはないというくらい、メニューが豊富です。なかでも人気の一品が「カンジャンセウ」のランチです。ケジャンを含むおつまみもあり、スンドゥブも付いて、1,990円とかなりお得です。
カンジャンというのは、韓国語で醤油を意味します。セウはエビですので、エビの醤油漬けということになります。このエビをハサミでカットして、海苔、卵、とびっこのご飯の上に乗せ、混ぜ混ぜして食べます。
韓国料理というと、サムギョプサルなどの焼き肉をイメージしやすいのですが、海鮮系もかなり豊富です。わたしは最近、海鮮系にハマってます。
韓国は半島で東西が海に囲まれてます。有名な釜山港はアジア圏に於ける物流のハブ的な役割を果たしてます。地形的にも海鮮料理が豊富なのはうなずけます。
つばき咲く春なのに
あなたは帰らない
たたずむ釜山港に涙の雨が降る
あついその胸に顔うずめて
もういちど幸せ噛みしめたいのよ
トラワョ プサンハンヘ逢いたいあなた
~「釜山港へ帰れ(チョー・ヨンピル)1972年」
いまでこそ、日本はK-POPで溢れてますが、1980年代までは日本でヒットした韓国の曲は、チョー・ヨンピルの原曲を渥美二郎がカバーした「釜山港へ帰れ」をはじめとしてごく僅かです。
「釜山港へ帰れ」はとてもシンプルな歌詞です。純粋に愛しい人との別れを悔やんでます。わたしがこの曲を知ったのは、高校生(1983年)のときです。曲を聴いたときの第一印象は、暗く辛い恋愛感情が前面に出過ぎていて、わたしは苦手です。なぜ、この歌をたくさんの歌手がカバーしているのか不思議でした。
ただ、歌詞を深読みすると別な側面も見えます。
恋人は釜山港から船で出ていったはずなので、時代的に行先は下関の可能性が高いでしょう。かっての恋人は、日本に行って日本の男性と新たな恋をはじめたと考えられます。恋人にふられた韓国の男性は、新たな恋人となった、見えない日本の男性に憎悪を抱いているのではないでしょうか。
ここから、韓国人が日本人に対して抱く、複雑な感情を読み取ることができます。
一昨日、韓国の憲法裁判所は「非常戒厳」を宣言した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾は妥当だとする決定を言い渡しました。ユン大統領は罷免されて失職しました。60日以内に大統領選挙が行われます。
びっくりしたのは、この判決を迎えるまでの、韓国民の盛り上がりのすごさです。妻は三週間まえに韓国旅行に行きました。ソウルの安国(アングク)では、大規模な集会を目の当りにしたようです。判定が出された瞬間「罷免賛成派」の歓喜と、反対派の嗚咽が交互に映像で映し出されました。老若男女問わず、韓国は日本と比べて、政治への関心が非常に強く、人々の生活と政治の距離感の近さを感じます。
ユン大統領は「親日」として知られてます。親日派は北朝鮮に対して、北風的な対応を取る傾向があります。罷免されたユン大統領の後継として、いちばん支持が高い、野党系候補の李在明(イ・ジェミョン)は、反日とされてます。反日派は、北朝鮮に対して太陽的な政策を掲げる傾向があります。
韓国と北朝鮮は長い停戦状態です。戦後、日本で維持されている平和や民主主義に比べると、韓国の平和ははるかに脆いと思います。韓国民が政治的な情報に対する感度が高く、いい意味でも悪い意味でも、入手した情報から、瞬時に感情を露わにして、行動へと移すのは、国家をサンドイッチのように挟んだ、北朝鮮と日本の影響があると思います。
「情報リテラシー」を育む観点から見ると、情報に触れた瞬間に、激しい感情で反応するのは望ましいとは思いません。感情に流されると、論理的思考力が欠如するだけでなく、フェイク情報に騙される確率も高くなるからです。情報を入手したら、それは信じていいのか、情報のソースは何かを確認することが重要です。
ただ、情報に対して、感情的になること自体が悪いわけではないと思います。むしろ人として自然です。仮に一時的に感情に流された行動をとっても、後で冷静な思考を以ってそのときの「感情」を分析することが出来れば、結果的に「情報リテラシー」を育むかもしれません。
ランチのあと、同じ新大久保にある神社、皆中稲荷神社に寄りました。
小さくも満開の桜と青空のコントラストが素敵でした。
桜を見るのは、ある種のはかなさを楽しむ時間です。でも、わたし達が手にしている平和は永遠であって欲しいと思います。