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チョン・ウンジ&ソ・イングクのデュエット曲「Couple」が配信されます

今日の夕方6時に、チョン・ウンジとソ・イングクのデュエット曲「Couple(カップル)」が配信されます。

配信に先立って公開されたティザー映像を見ました。これはもう期待しか感じません。

youtu.be

ふたりは2012年の韓国ドラマ「応答せよ1997」で、ユンジェ(ソ・イングク)と、シウォン(チョン・ウンジ)の高校生カップルとして共演してます。デュエットのOST「All For You」は、ドラマとともに大ヒットしました。

わたしはこの曲に出会うまで、韓国ドラマは好きでしたが、K-POPには全く関心がありませんでした。「All For You」をきっかけとして、K-POPに興味を持つようになりました。しかし、未だ「All For You」以上にいい曲と感じる曲には巡り合ってません。それだけふたりのハーモニーが強烈なのです。

神がかった歌唱力をもつふたりの再会をずっと期待してました。今回、13年ぶりに新曲がリリースされるのはとても嬉しいことです。

日曜日の夕方6時というと、毎週、サザエさんシンドロームに浸るのが常ですが、今日だけは違う気分になりそうです。

ところで、韓国ドラマと日本のドラマはいくつか異なる特徴があります。なかでも、ドラマに使われる曲数の違いは目につくと思います。

日本のドラマは、ドラマと曲がほぼ「1:1」の関係です。

もうすぐ最終回を迎えるNHKの朝ドラ「おむすび」では、B'zの「イルミネーション」が主題歌として採用されてます。「おむすび」は、自然豊かな糸島(福岡県)で、農業を営む家族と暮らしている主人公、米田結(橋本環奈)が、人々の健康を支える管理栄養士を志す物語です。

ドラマと直接関連しませんが、糸島というと、わが家では糸島ブランドの「伊都物語」というヨーグルトを愛飲していて、定期的にネットで注文してます。その意味で愛着がある地名です。ただ、糸島そのものには行ったことがありません。いつか行ってみたいと思ってます。

物語は、神戸の栄養専門学校に通う結が、阪神・淡路大震災のときの炊き出しを学んだり、管理栄養士の仕事をするなか、コロナ感染が広がり、病院内もゾーンに区分けされます。そのなか、患者への食事提供をどうするかを考える場面などが描かれます。最近の時代を背景として、人の心と未来を結んでいく主人公の姿は、B'zが歌う「ユメが萌えるイルミネーション」という主題歌の歌詞と重なります。

日本のドラマは、 物語と曲(主題歌)が、密につながってます。ドラマを回想しながら、同時にメロディがアタマをコダマしたり、街中で曲が耳に入ると、ドラマの印象的なシーンを思い出したりします。名作と呼ばれる数多くのドラマは、主題歌とともにあるといって、過言ではありません。

いっぽう、韓国ドラマでは1本のドラマにたくさんの曲が挿入されます。それらをOST(オーエスティー)という呼び方をしますが、ドラマに使われるOSTを集めると、日本でいうところの「サントラアルバム」になります。

韓国の音楽というと、K-POPのイメージから、ダンス中心のグループによる楽曲を連想しますが、OSTはバラードが多く使われている印象です。ドラマの持つ情緒性を高める効果が、バラードにはあります。

普段はグループとして、活動しているアイドルにとって、OSTでソロとして歌うことが出来るのは、かなり名誉なことだと思います。2023年にデビューしたボーイズグループ「ZEROBASEONE」は、9人で活動している人気のボーイズグループですが、「涙の女王(キム・スヒョン、キム・ジウォン主演)」では、メンバーのキム・テレがソロでOSTを提供していることなどが典型です。

もちろん、すべての韓国ドラマにOSTが備わっているわけではありません。今年、見たチュジフン主演の「トラウマコード」は、インストのみです。歌はありません。目まぐるしく変わる演出を効果的に見せるため、あえて歌を挿入しなかったんだと思います。

また、OSTは必ずしも、歌手が歌うとは限りません。「応答せよ1997」のチョン・ウンジとソ・イングクのようにドラマの登場人物が歌うことも多々あります。韓国の俳優はなぜか歌唱力のある人が多くいます。正直、日本の歌手よりも高い歌唱力でOSTを歌うことも珍しくありません。昨年、社会現象を巻き起こした、ドラマ「ソンジェ背負って走れ」では、主演のピョン・ウソクが「ECLIPSE」という物語上のグループで、ボーカルを務めてました。架空のグループである「ECLIPSE」の楽曲(夕立)が「MMA2024」でベストOSTを受賞しました。

韓国ドラマは、物語と曲が「1:多」の関係です。日本では「密結合」にある、物語と曲の関係が、韓国では「疎結合」になっていると言えます。そのため、実際には違う種類の、物語と曲の関係が、日本では、主題歌に起用されると、同質属性のように見られがちです。しかし、韓国ドラマでは、OSTのひとつとして扱われるので、物語と曲を分離して捉えやすくなると思います。

物語と曲を「1:1」として、演出する日本と、「1:多」として演出する韓国のどちらがいいかは、いちがいに言うことは出来ません。ただ、マーケティング的な視点で見ると、韓国のやり方が優れていると感じます。

ドラマと音楽では、もともとターゲットとしている世代が違います。新しい曲を好んで聞くのは、10代~20代が中心です。いっぽう、ドラマは30代を超えても、よく見ます。物語と曲を「1:多」の関係にすることで、ドラマを見ている人が、たくさんのOSTに触れます。それによって、視聴者は物語とは異質の「音楽」として解釈する可能性が高くなります。OSTのなかから、視聴者が「あ、この歌いいな~」と、感じたら、その曲を起点として、歌手に注目するかもしれません。歌手に注目したら、その歌手が所属するグループの楽曲を聞いてみたくなるかもしれません。

OSTによって、歌手本来のターゲットとは異なる客層に影響が及びます。それを契機として、想定外の顧客を獲得する状況になることをマーケティングでは「スピルオーバー効果」と呼びます。

影響を受ける客層の数を時間の経過にあわせてN(t)として、それが 時間と成長率によって増加するのは次の式で示せます。

N(t)=N(0)ert

  • N(t):経過時間(t) 時点で、影響を受けた人の数
  • N(0):初期段階で影響を受けた人の数(固定客や初期のプロモーション)
  • r:成長率(影響が広がる速さ)
  • e:ネイピア数(約2.718)
  • t:時間(例、日、月)

ドラマでOSTを流すことで、ターゲットではない客層にまで影響が広がります。これは r(成長率) の拡大を意味します。ドラマがヒットすれば、r が拡大します。

仮にN(0)を1万人と仮定し、時間を固定値1にすると、r 値の拡大により、N(t)がどのように変動するかを計算した結果が下記です。

スピルオーバー効果による影響が、加速度的に増えることがグラフで見ると視覚的に分かります。スピルオーバー効果は、企業がターゲットとした顧客層をぼやかしてしまうので、必ずしもプラス面ばかりとは限らないのですが、客層が広がること自体は望ましいことだと思います。