叡智の三猿

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猿島とサプライチェーン戦略

年明けの旅行ついでに、三笠公園から船にのり猿島を散策しました。

三笠公園には「東郷平八郎」の像があります。東郷平八郎は、連合艦隊司令長官として、日露戦争で指揮をとり、ロシアのバルチック艦隊を全滅させたことで知られてます。

東郷平八郎の像と記念艦船三笠

猿島へは三笠公園の船着き場から船にのって10分程度でつきます。

猿と書かれていますが、猿島に猿はいないようです。

猿という名前の由来は、次のようです。

日蓮上人が小舟で東京湾を渡っている際、あたり一面が濃い霧に覆われ、行き先が全く分からなくなってしまいました。その時、近くの島に避難したところ1匹の白猿が現れ、島の奥へ案内したという言い伝えから、「猿島」という名がついたという説があります。
~「横須賀市観光情報(猿島公園)」より

この情報を知らず「猿が見れる」ことを期待してがっかりする観光客はかなり多いのでは!?と、思いました。

猿島に猿はいませんが、戦争に於ける「要塞の島」としての史跡を随所に見ることができます。

兵舎と切通し
弾薬庫とフランス積みレンガのトンネル

要塞の島として、戦時中は重要視されていたはずの猿島ですが、実のところはあまり戦争の役にはたってないともされてます。

防空砲台として空を飛ぶ敵機を打ち落とそうにも、その射程距離は、アメリカのB29戦闘機の高さには届かなかったとのことです。

裏を返せば、敵にとって脅威とならない島だったからこそ、いまも綺麗な状態で要塞が保存されているともいえます。

戦争に於いて、要塞が必要なのと同じく、情報化社会の現代企業に於いて、DX(デジタルトランスフォーメーション)は会社を守る要塞の役割を果たすともいえます。

DXは特定のIT技術を指した言葉ではありません。企業がデジタル技術を活用することで、新たなビジネスモデルを構築したり、製品やサービスを開発することで、より競争力を高める取り組み全般を指します。

DX自体に、やるべき答えがある訳ではありません。そのため、経営トップがビジョンや戦略、DX化に向けたロードマップが明確に描けていなければ、不必要なIT投資を重ねるだけの結果で終わりそうです。

2025年は「DXの崖」と、評されるほど、企業の将来を決定づける重要な一年です。

しかし、多数の企業がDXの迷走状態にあると思います。

要因のひとつとして考えるのは、DX化をはじめるための前提条件が、変わっていることに未だ気がついてない経営者が多いことがあげられます。

世の中は変わっているのですが、経営者の「変化」に対する感度が低いと、間違った前提条件をおきます。感度が低いので、残念ながら経営者はそれを間違っているとも認識しません。

社員のなかには「それは時代遅れだ」と、感じる人もいるでしょう。でも、あえていちサラリーマンが声をあげても、会社は変わらないと諦めているかもしれません。

自分の会社の製品やサービスが、どのくらい需要があるかを知ることは、サプライチェーンの計画を立てる上で非常に重要です。

本来、需要とは「お客様が望む量、そのもの」です。しかし、需要がひとり歩きすると「ブルウィップ効果」が生じます。経営者は、需要に対する誤った解釈をしかねません。

ブルウィップ効果とは、サプライチェーンにある 川下(消費者)の小さな需要が、まるで鞭がしなりをうつように、川上(生産)側にいくにつれて、大きな変動が起きて、需要を必要以上に大きく捉えてしまう影響を指します。

ブルウィップ効果

ブルウィップ効果で膨れ上がった需要は、「使えない需要」です。

それは猿島で見た「防空砲台」と同じです。

日露戦争で役に立った艦隊も、空中戦の時代になると、もはや時代遅れです。

「ブルウィップ効果」による「需要」は、DX化という戦争で、なんの役にも立たない情報でしかありません。

その前提にたてば、経営者はサプライチェーン戦略を考えるにあたり、何を重視するべきかは、見えてくるはずです。

しかし、感性が低い経営者は、見えません。

各事業単位で集められた「売上表」をにらめっこしながら、幹部をあつめては、売上を拡大し、競合に勝つための協議を繰り返しているのでしょう。