叡智の三猿

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AIの予測から「書を捨てよ、町へ出よう」を思いだす

先日(10/27)の衆議院選挙は、与党(自公)の過半数(233議席)割れという結果で終わりました。

投票率が低かったので、開票速報を見るまで、あまり変化はないだろうなと思ってました。しかし、結果的には、今後の政治に大きな変化が生まれそうな状況です。

わたしは、選挙の直前にChatGPTに選挙の獲得議席を予測してもらいました。下記がその表です。ChatGPTは獲得議席の合計が、450となってます。なぜか、実際の定員数より、15人削減されてます(笑)。

ChatGPTの予測のとなりに実際の結果と、公示前の勢力を並べました。

政党 ChatGPTの予測 結果 公示前 評価
与党 自由民主党 220 191 256 あたり
公明党 28 24 32 あたり
野党 立憲民主党 90 148 98 はずれ
日本維新の会 75 38 43 はずれ
国民民主党 15 28 7 あたり
日本共産党 10 8 10 はずれ
れいわ新選組 5 9 3 あたり
社民党 1 1 1 あたり
その他 6 18 15  
  合計 450 465 465

評価欄に「あたり」と「はずれ」を明記しました。ここでは、ChatGPTの予測と実際の結果での比較はしてません。公示前の勢力と実際が上昇(若しくは下落)していて、ChatGPTもそのトレンドが一致している場合は、「あたり」としました。逆に実際のトレンドと逆の結果だった場合は、「はずれ」としました。選挙は勝ち負けですので、公示前の勢力を伸ばすか、維持するか、下落するかが最大の関心事だと思うからです。

その観点でみると、ChatGPTの予測は決して悪くはありません。逆風の自民党はしっかりと過半数割れを予測してます。倍以上の躍進を遂げた、国民民主党やれいわ新選組のトレンドも抑えてます。

しかし、とんちんかんなのが、立憲民主党の下落と、日本維新の会の躍進という予測です。このはずれた予測のインパクトが強すぎます。そのため、全体としてはChatGPTの選挙予測は、信頼できないと判断できます。

現時点のChatGPTの学習は、2023年10月までとされてます。それ以降のデータは、問い合わせに応じて、インターネットから、最新のニュースなどの情報を収集し、過去の学習データを交えて回答するようです。

立憲民主党や日本維新の会の予測が大きくはずれたのは、2023年10月までに学習された予測モデルと、直近で変化したトレンドとのかい離が大きいためだと思います。トレンドによる変化を予測モデルに充分な反映が出来なかったからだと思います。

選挙に限らず、トレンドを読むのは、予測をするうえでもっとも難しい領域です。

AIはインターネットを活用し、SNSやニュースサイト、データ分析ツールなど、様々なプラットフォームを活用することで、トレンドを掴もうとします。ネットが進んだ現代社会では、オフラインでの情報収集は必須ではないという意見もあります。

しかし、ネットで得られる情報は必ずしも、わたし達の「内なる声」を充分に反映していない気がしてます。言葉にならない人間独自の肌感覚というか・・・一見、筋が通っている論理的な意見であっても、個々からみると正解と感じないこともあります。

 少しでも金が入ったら、賭博してみよう、とぼくがいうとき、親父たちはその無鉄砲ぶりにあきれた顔をする。
「たとえ儲かっても」
と、賭博反対論者の親父はいう。
「悪銭は身につかず、だ。働いて得たものでない金などは、決してひとを幸福にすることなどないだろう」と。

 だが働いて得られる金がどれほどのものであるかは、プレス工をやっている友人たちでなくとも知っている。ぼくたちの時代のサラリーマン、労働者は、その月給の計画的配分によるバランス主義では、スポーツカーを一台手に入れることなど、とてもできるものではない。

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感想(2件)

歌人の寺山修司が書いた評論「書を捨てよ、町へ出よう」は、タイトルが刺激的な昭和の古典です。

当時の「書」は、いまの世界でいうなら「ネット」にあたると思います。

ネットでのリサーチが簡単にできる時代になっても、「書を捨てよ、町へ出よう」というタイトルには大いに惹かれます。

選挙期間中、多数の立候補者や、主要な政党の方々が、党の掲げる公約を説明している動画を観ました。

わたしのなかでは、ピント外れな公約を掲げる政党はないと思ってます。内容に共感を持つ持たないかは別として、政党の立ち位置でみれば、それぞれが理にかなった政策だと思うのです。

選挙戦で語られる政策は、ツルツルと磨かれた石のような感触の心地よさがあります。でも、石のなかには、一見すると見えないギザギザした破片が混在してそうです。それがちょっとした瞬間に表に出ることがあります。そのとき感じる違和感が時間を経て別なトレンドを生むんだと思います。