叡智の三猿

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騙し合いの恋愛論

むかし、むかし大学生だった1980年代の終わり。

Kくんという友人がいました。

Kくんとは塾教師のアルバイトで知り合いました。彼は英語の先生でわたしは数学の先生でした。

Kくんとわたしの出身大学は違うのですが、彼とは非常に仲良くさせて頂きました。

Kくんは高学歴・高身長で顔もまあまあいい方でした。

そんな学生時代のKくんが興味をもって追求していたのが「恋愛論」でした。

恋愛を追求することは、愛の本質を考えることであり、それは自分を知ることでもあると言ってました。

Kくんは尾崎豊は大ファンで、すべてのアルバムを持っていました。

尾崎豊の書く曲は「愛」をテーマとした作品が多く、きっとそこにKくんは共感しているんだろうと思いました。

I love you 今だけは
悲しい歌 聞きたくないよ
(I love you/尾崎豊)

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感想(12件)


Kくんは「恋愛のプロセスは、男女の騙し合い」という考え方がありました。

出会いから彼は自分の魅力を最大にみせることで、相手の恋愛感情を芽生えさせるプロセスをよく語ってました。

たとえば、スキー場。

当時のゲレンデはいまよりもずっと混雑していました。

混雑を軽減するため、ペアリフトでひとりで乗ることは厳禁でした。

Kくんは、スキー場で奇数の女性グループを探してました。

奇数だと必ず、ペアリフトでひとりになる場面があります。そこにKくんは割り込むことを考えてたのです。

Kくんは狙いを定めた女性と一緒にペアリフトに乗ろうとします。

ただ、一回目は何も話さないと言います。

それは小さなきっかけです。

しかし、二回目もその女性と一緒になると、Kくんは相手に話しかけると言います。

リフトにのって直ぐに話しかけるのではなく、支柱を3本過ぎたころが効果的だと言います。

そこで「天気の話」からはじめると、相手は自然に心を開くとのことでした。

Kくんの恋愛論は聞いていて、面白かったのですが、大事なものが抜け落ちているとも思いました。

多分「恋愛のプロセスは、男女の騙し合い」というのは、恋愛の一面だと思いますが、それだけではないと思うからです。

相手を思いやったり、一緒に喜んだり、悲しんだりすることは、騙し合いだけでは生まれない感情です。

Kくんが尾崎豊にのめり込んでいたのは、自分の恋愛論と、尾崎豊の音楽にあるGAPを理解したいと思っていたのかもしれません。

でも、「恋愛のプロセスは、男女の騙し合い」は、名言な気もします。

しかし、恋愛の目的が相手の金品だとしたら、名言どころか、「ロマンス詐欺」かもしれません。

ロマンス詐欺は、ネットを使って親しくなった相手をだますことでお金を得ようとする詐欺を指します。

ロマンス詐欺の手口(参考:国民生活センター)

令和6年5月の警視庁の公開情報によると、SNS型ロマンス詐欺に関しては、被害者の約63.3%が男性で、女性が36.7%を占めているようです。年齢層は、男性は50代、60代が多く、女性は40代、50代が多いようです。

5月単月で、316件、約33.8億円もの被害があるようです。

ロマンス詐欺はかなり深刻な社会問題と捉えます。

孤独を感じると、新たなコミュニケーションを求めて、SNSでの出会いを期待することが、背景にあると思います。

そこにのめり込むのは危険だと思います。