昨日は清澄白河(東京都江東区)を散歩しました。
清澄白河は江戸時代に運河がつくられました。昭和までは木材の資材を運ぶいかだが中継する場所として栄えたようです。
「清澄白河」という駅が出来たのは2000年です。駅がないころは、資材倉庫が点在する殺風景な地帯だったと思います。
一方、物資の輸送の中心は水運からトラックへと変わります。
資材倉庫として存在価値を提供した清澄白河は、ロジスティクスの変化により廃れていきました。
そこに目をつけたのが、倉庫のリノベーションによる活用です。
1995 年に東京都現代美術館が開館。会館に伴い運 河沿いに存在した倉庫が、物置として使われたり、リ ノベーションされてギャラリーになったりと、倉庫の 再活用が始まった。倉庫をリノベーションし、自社で焙煎を行うカフェもあらわれた。木材貯蔵用であった倉庫は排煙ダクト設置に必要な高さを備えており、また、排煙の際にはダクトを川側に向けることで近隣の迷惑とならずに焙煎を行うことが出来た。
~「清澄白河の歴史や文化と結びつくカフェまちづくりに関する研究(令和2年度日本大学理工学部学術講演会予稿集)」
いまの清澄白河は、芸術とカフェの聖地として知られてます。
小売店が密集している街ではありません。ショッピングを目当てにした客はあまり見かけません。静かで目立たない通りにおしゃれなカフェがあるのが、魅力的です。
ここは清澄白河駅A1出口です。この規則性のない、蛍光灯の不気味な配列こそ、まさに現代アートなのでしょうか!?
ここは一軒の家をタイ料理のお店にした「MAKIN」です。注文したのは、タレーパッポンカリー 1,350円です。辛さがまろやかで美味しかった!サラダとスープも付いてきます。
ここは築60年のアパート 兼 倉庫をリノベーションした複合施設「fukadaso」の1階にある人気のカフェです。二階堂ふみと山﨑賢人のラブコメ映画「オオカミ少女と黒王子」のロケ地としても知られてます。廃墟のような外観から想像できないほど、内装のセンスが抜群です。
コーヒーはコクがあって美味しく、チーズケーキも濃厚でした。
カフェのとなりは、「リカシツ」という、理科の実験で使われる器具を販売する雑貨屋さんです。お店に入る人、誰もが「かわいい~」と、唸ってました。化学科出身のわたしは実験器具に対していい思い出はありません。でも、確かにかわいく見えました。
迷った末に試験官を購入しました。
おしゃれなカフェや雑貨屋が点在しますが、やはりどこか殺風景な雰囲気が漂う清澄白河です。
街を歩きながら、わたしは20年ちょっとまえに参加した某電機メーカーの「調達改善プロジェクト」を思い出しました。
大手電機メーカーの工場が導入する「eプロキュアメント」です。eプロキュアメントとは、インターネットを利用した部品や資材の調達を行うためのソフトウエアです。
eプロキュアメントは、サプライヤーとの見積、発注、請求等をインターネットを利用して行う仕組みです。インターネットを活用することで、決済、仕入れにかかる手間を短縮します。それによって、調達コストの削減を目指します。
当時、工場の周辺には、多くのサプライヤー(部品メーカーや資材メーカー)が倉庫を抱えてました。
わたしは、電機メーカーの調達責任者が策定した、サプライヤー向けの説明資料を見せてもらいました。
説明資料には、eプロキュアメントを導入することで、決済の仕組みが簡単になるとメリットが書かれてます。
でも、わたしはー
この説明を聞くサプライヤーの気持ちは複雑だろうなぁ
と、思いました。
eプロキュアメントを使えば、電機メーカーにとっては、近くのサプライヤーに縛られない取り引きが可能になります。
それは、工場の周辺に倉庫を構えて、工場に御用聞きをしているサプライヤーにとっては、仕事が無くなる脅威しか感じないと思いました。
産業が廃れた場所は、時の流れに沈みます。
清澄白河は、廃れた資材倉庫をリノベーションにより、観光客を呼び込む街に変遷しました。
逆境を逆手にとった街のブランディグの成功例といえます。
いちど廃れた街も、人々がまたその場所に集まり始めると、忘れられていた過去が再び語られるようになるのでしょう。