環境問題でよく使われるフレーズですが「Think Globally、 Act Locally」というのがあります。
これは「課題をグローバルな視点で考え、足元から行動をしましょう」という意味です。
わたしがこの言葉を初めて知ったのは、2007年にeco検定(環境社会検定試験)の勉強をしたときです。
直感的に「いい言葉だな~」と、思いました。
もう定着した感のある「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」は、2015年に国連が採択した以下17の目標です。
それぞれの目標には、より具体的なターゲットがあります。
SDGsは2030年までに持続可能で、より良い世界を実現するために必要な指針が示されてます。
- 貧困をなくそう:あらゆる貧困を終わらせる。
- 飢餓をゼロに:飢餓を終わらせ、食糧の安全と改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
- すべての人に健康と福祉を:すべての人々の健康を確保し、福祉を促進する。
- 質の高い教育をみんなに:すべての人に公平な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する。
- ジェンダー平等を実現しよう:ジェンダー平等を達成する。
- 安全な水とトイレを世界中に:すべての人に水と衛生を確保する。
- エネルギーをみんなに そしてクリーンに:すべての人に信頼できる持続可能なエネルギーを提供する。
- 働きがいも経済成長も:働きがいのある人間らしい仕事を提供する。
- 産業と技術革新の基盤を作ろう:強靭なインフラを構築し、技術革新を支援する。
- 人や国の不平等をなくそう:国内および国家間の不平等を是正する。
- 住み続けられるまちづくりを:持続可能で人が住みやすいまちを実現する。
- つくる責任 つかう責任:持続可能な消費と生産を確保する。
- 気候変動に具体的な対策を:気候変動とその影響に立ち向かうための対策を講じる。
- 海の豊かさを守ろう:持続可能な開発のために海洋と海洋資源を保全する。
- 陸の豊かさも守ろう:陸域生態系の持続可能な利用を促進し、生物多様性の損失を止める。
- 平和と公正をすべての人に:平和かつ公正な社会を促進する。
- パートナーシップで目標を達成しよう:持続可能な開発のためのグローバルなパートナーシップを活性化する。
SDGsで定めた17の目標や数々のターゲットは「Think Globally、 Act Locally」のフレーズに沿ってます。
ところで「Think Globally、 Act Locally」を逆に読むと、「普段の仕事やプライベートで起きている行動が全体から見て、どんな影響を及ぼしているかを考える」とも理解できます。
わたし達の仕事やプライベートな行動は、多くの場合、グローバルな視点で持続可能性を考え、そこからブレイクダウンしてアクションしているわけではありません。
普通の日常的な行動は直感的で刹那的です。
与えられた仕事は、会社からの指示でやっているに過ぎません。
ただ、それが公正な仕事であれば、SDGsの目標になんらかの貢献をしているはずです。
偶然与えられた仕事、やりたくないと思える仕事も、グローバルな視点で捉えてみる価値はありそうです。
ITエンジニアの仕事の種類は数多くあります。
そのなかで初心者がよくアサインされるのが、データセンターやサーバールームのオペレーション業務です。
わたしも新入社員のときは、サーバールームのオペレーターをしました。
データセンターで働くオペレーターのいちばんの役割は「機器の監視」です。
データセンターは24時間365日稼働するのが、普通です。
オペレーターは、サーバー、ネットワーク機器、ストレージのパフォーマンスやステータスを24時間体制で監視します。そこで、ネットワークのトラフィックや、システムログを監視し、不正な活動や異常な挙動を早期に検出します。
もし、サイバー攻撃と思われる挙動を検知したら、マニュアルに沿って、初期対応として影響範囲の特定や被害の軽減策を実施します。
いまはサイバー攻撃が起きたら、会社はCSIRTと呼ばれる特別なセキュリティチームを発足することが多いです。
オペレーターはCSIRTと連携し、攻撃の詳細を報告します。
もちろん、サイバー攻撃は未然に防ぐことが重要です。
オペレーターは、パッチ管理やシステムの更新を行い、脆弱性を最小限に抑えるための対策を講じます。各機器の定期的なセキュリティチェックを実施することで、最新のパッチが適用されていない機器を特定します。
また、データの意図せぬ消失に備え、定期的なバックアップを実施します。必要に応じて、データ復元作業を行います。
オペレーターは、データセンターの円滑な運用と可用性の維持を支える重要な仕事です。
ただ、オペレーターの仕事は3交代でやることが多く、正直しんどいです。
特に夏場は機器を冷却するため、冷え切ったデータセンターと、外との気温差が大きいので、体調を壊す人が増えます。そこに3交代ですから、なおさらです。
わたしが新入社員のときは、大阪の職場でオペレーターをしていたのですが、夏の夜勤のときは、昼は扇町公園の市民プールで暑さをしのぎ(当時の寮にはエアコンがないので・・・)、コンビニでカップラーメンやサンドイッチを買って、夜に出社するパターンを繰り返したのを覚えてます。
肉体的にしんどいにも関わらず、作業の多くはマニュアル化されています。
エンジニアとしてスキルアップする実感を持つことも難しい職種です。
そのため、オペレーターは長続きしないエンジニアの職種のひとつに挙げられます。
ただ、オペレーターは、直接的なセキュリティ専門家ではありませんが、日常業務の中でサイバー攻撃に対する防御や対応に重要な役割を果たしているのも事実です。
SDGsの目標に照らし合わせると、オペレーターの仕事は以下の目標と関係があります。
目標9:産業と技術革新の基盤を作ろう
データセンターのオペレーターは、安全で強固な技術インフラを構築するために不可欠です。サイバー攻撃やデータ漏洩から保護することで、持続可能な産業の発展を支えます。
目標16:平和と公正をすべての人に
データセンターのオペレーターは、法制度を通じて個人のプライバシーを保護し、公正な社会を築くために重要です。また、サイバー犯罪の防止にも役立ちます。
キツイ仕事でも、持続可能で、より良い世界を実現するために重要な役割を果たしていることを認識しながら、モチベーションを維持できるといいなと思います。