叡智の三猿

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ロースキル案件への主体的な関与

IT業界では、取引先とSES契約(準委任)を締結すると、SES企業は自社のエンジニア(SESエンジニア)を取引先に常駐させます。

SESエンジニアが常駐先で期待される仕事は多種多様です。

プログラミングなど、経験を必要とする仕事がメインです。

いっぽうで、マニュアルを読めば誰でもできる簡単な仕事もあります。

典型的なのはオペレーションと呼ばれている機器の操作や、パソコンのキッティングなどです。

こういう案件は、SESの営業をしている人々のなかでは「ロースキル案件」と呼んでます。単価はもちろん安いです。相場は月額50万円台といったところでしょうか。

ただ、単価は安いのですが、SES企業にとっては、未経験のエンジニアを提案できるメリットがあります。

その意味で、重宝する案件でもあります。

結果的にロースキル案件には、未経験のSESエンジニアが多く投入されます。

ただ、エンジニアにとっては、ロースキル案件だと経験をスキルとして蓄積することが出来ないと感じるようです。

案件に魅力を感じない人もいます。

マニュアルを読めばできるロースキル案件に投入されたSESエンジニアは、次のうちどちらかの行動をとることが多い印象です。

  1. 自分を提案した営業に対して、不服を申し立て、プロジェクト早期変更を要求する。
  2. 転職する(退職代行会社を使うこともある)。
  3. 早々に自分のキャリアを諦め、マニュアル通りの作業を淡々とこなす。

ちなみに、「退職代行会社」とは、社員本人に代わって会社に退職の意思表示をしてくれるサービスを提供する会社です。

退職代行は、以前から存在しているサービスですが、近年は転職を希望する人が、お金を払いこのサービスを利用して、円滑な退職をする人が増えているようです。

ただ、残念ながら上にあげたような行動をとる人は、エンジニアとしての成長は期待できないと思います。

なぜなら、エンジニアのもっとも重要な素養である「論理的思考力を使って、仕事の問題を分析し、解決策を見つける能力」を発揮できてないからです。

実は「マニュアル」は、仕事の問題を発見する宝物です。

マニュアルに好奇心をもって取り組めば、必ずそこに問題を見出すことができます。

たとえば、マニュアルの記載を見ると、曖昧さを感じることがしばしばあります。

「不明点は開発に確認する」

と、書いてるオペレーションマニュアルがあったとしたら、作業者はどう感じるでしょうか!?

書いてある日本語は理解できます。しかし、この表現では、実際の行動に結び付けることができません。

  • 開発とはだれなのか?個人なのか?組織なのか?
  • どうやって、開発に確認するのか?メールなのか?チャットなのか?電話なのか?

作業者がマニュアルを必要とするのは、そこに明確な回答があるからです。

マニュアルの表現が曖昧なのは、そのマニュアルが適当に作られているからです。

「不明点は開発窓口( メールアドレス:XX@XX.XX )に問い合わせる」

と、書いてあれば、作業はずっとしやすくなります。

その分、作業時間が短縮するので、業務は効率化されます。

であれば、マニュアルをより見やすく改訂するべく、チームに提案するべきです。

しかし、実際はこういう主体的な提案をするエンジニアは多くはいません。

スティーブン・R・コヴィーのビジネス書でベストセラーとして有名な「7つの習慣」では、次のように書いてます。

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感想(13件)


主体的な人は、努力と時間を影響の輪に集中させ、自らが影響できる事柄に働きかける。彼らの使うエネルギーは積極的なものであり、その結果として、影響の輪が大きく広がることになる。
~「7つの習慣(スティーブ・R.コヴィー/FCEパブリッシング(キングベアー出版))」

すなわち、いまある仕事に主体的に取り組むことが出来ないエンジニアは、影響の輪が狭まっていくことを伝えてます。

それでは、エンジニアとしての成長を止めてしまうのです。