叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

当サイトは、アフィリエイト広告を使用しています。

防犯と庚申塔

テレワークのあと、運動不足を解消するため、住宅街を散歩します。そうすると、あちらこちらで、更申塔を見かけます。庚申塔は一見すると、何かの墓石のようです。

庚申塔は江戸時代に多く作られました。この時代、60日毎めぐる庚申の日は、人間の体の中にいる虫が、眠っている間に抜けだし、悪い行いを天帝に告げ口することで、命が縮まると信じられていたようです。その日はみんなで庚申塔の前に集まり、寝ないで過ごし「長生きできますように」と祈っていたそうです。

民間の更申信仰はすっかりなくなりました。閑静な住宅街に更申塔だけがひっそりと残されています。

ただ、見方によっては、更申塔は地域住民の安全を願う守護神のようです。

鬼のような顔をした青面金剛が、住民に災いが起きぬようお祓いをしてくれそうです。

庚申塔の多くは下部に三猿が彫られています(江戸時代の末期になると手間のかかる三猿の彫刻はやめたようです)。三猿の意味は、わたしの悪い行いを見なかったこと、聞かなかったことにして、天帝に告げ口をしないで欲しいとの願いが込められてます。

いまの時代、住宅街の安全を脅かす災いとして、第一に強盗の侵入を連想すると思います。

わが街でも強盗や窃盗があります。少し前に、有名人の家に強盗が押し入り、それがTVニュースにもなりました。

セキュリティを高めるため、防犯カメラを設置している家もよく見ます。ホームセキュリティサービスに加入している家庭もあるでしょう。

ただ、やはり一軒家は、建物の特性上、出入りできるドアや窓が複数あり、施錠をしっかりしていないと、簡単に強盗の侵入を許してしまいそうに見えます。

2020年 にベストセラーとなった「ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治/新潮新書)」では、「認知のゆがみが、犯罪を引き起こす」と、指摘します。

ケーキの切れない非行少年たち (新潮新書) [ 宮口 幸治 ]

価格:836円
(2024/2/4 03:19時点)
感想(63件)


認知機能とは、記憶、知覚、注意、言語理解、判断・推論といったいくつかの要素が含まれた知覚機能を指します。人は五感(見る、聞く、触れる、匂う、味わう)を通して外部環境から情報を得ます。そして得られた情報を整理し、それを基に計画を立て、実行し、さまざまな結果を作りだしていく過程で必要な能力が認知機能です。
~「ケーキの切れない非行少年たち(宮口幸治/新潮新書)」

この本から読み取れるのは、犯罪を犯す人は、想像力を働かせることなく、その場で思いついた行動に出やすいことです。

たとえば、(犯罪者ではない)わたし達はお金が欲しいと思ったら、働いて稼いで、お金を貯めることを計画します。しかし、犯罪を犯す人は、想像力に乏しいので、働いて稼ぐことと同じ基準で、他人のお金を盗むことを考えるということです。

家に防犯カメラがあっても、そのことで、強盗が盗みを思いとどまらせるような思考にはならない気がします。むしろ、「防犯カメラがある→財宝が眠ってる家→侵入しよう」と、直列的な発想をしそうです。

想像力が欠如した人は、目標を実現するために、長い時間軸で計画を立てて、実行することが難しく、安易な行動をとってしまうようです。PDCAサイクルに例えると、PLAN がなく、常に DO のみというタイプでしょうか。

そんな物騒な人がいるなかで、必要となる防犯対策はなんだろうか・・・と、考えたとき、更申塔に彫られた三猿が浮かびました。

ただ、わたしが思い描いた三猿は、「見ざる、聞かざる、言わざる」では、ありません。

むしろ、逆です。

「よく見よう、よく聞こう、よく話そう」とする、住民同士が相互に関心を持ち、見守りあうような・・・三猿の真逆になることです。それが、地域の防犯にも効果があると思います。住宅街を歩く「見知らぬ人」を見て見ぬふりをするより、気軽に「こんにちは!」と、挨拶をするような地域社会です。

三猿は英語で、three wise monkeys といいますが、いまの三猿を反面教師として見ると、セキュリティに対する視野も広がりそうです。

日々の日の入りが遅くなりました。仕事のあとの散歩でもまだ明るいのが嬉しい!

バラが見頃です。真夏は間近ですね。

よそ様に攻め入るまいと薔薇の棘 (スロトレ)