叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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「信用」と「信頼」は同じ意味か!?

「信用」と「信頼」は、同じ意味なのか、そうでないのか、どうでもいいような疑問を持つことがあります。

日常生活で「信用」と「信頼」を使い分けることはなく、信用は信頼に置き換えても、またその逆でも同じ文脈で伝わります。

金融関係では「信頼」よりも「信用」がよく使われている印象です。

  • 信用取引:自分の資金や株式などを担保にして、証券会社からお金を借りて投資することです。
  • 信用金庫:地域の中小企業や個人を主な取引先とする金融機関の総称です。

いっぽう、情報セキュリティでは「信用」という言葉を見聞きすることは、ほぼありませんが「信頼」は、情報セキュリティの7大要素に含まれる言葉のひとつです。正確には、情報セキュリティは3つの要素と4つの特性から成り立ちます。

ISMSにおける情報セキュリティに関する次の記述中のa,bに入れる字句の適切な組合せはどれか。

情報セキュリティとは,情報の機密性,完全性及び( a )を維持することである。さらに,真正性,責任追跡性,否認防止,( b )などの特性を維持することを含める場合もある。

a:可用性、b:信頼性
a:可用性、b:保守性
a:保全性、b:信頼性
a:保全性、b:保守性
~「ITパスポート・令和3年春期」より





答え:ア
ISO27001の情報セキュリティの定義では「情報の機密性、完全性及び可用性を維持すること。さらに、真正性、責任追跡性、否認防止及び信頼性のような特性を維持することを含める場合もある。」としています。

情報セキュリティに於ける信頼性とは、情報システムの処理が、欠陥や不具合なく確実に行われることを指します。システムの操作をして動きが変だったり、入力値に対して妙な結果が出力されたりすると、そのシステムへの信頼を損ねます。

ただ、欠陥や不具合のないシステムは存在しません。アプリストアでは、利用者がアプリを閲覧、ダウンロード、購入することができますが、そこでは既存のアプリの不具合を改修した最新バージョンを提供しています。言い換えれば、わたしたちが普段使っている、アプリはなんらかの不具合(表示速度が遅いなど)を抱えています。

すなわち、情報セキュリティにおける信頼性というのは、利用者にとって、システムの抱える欠陥や不具合が許容の範囲内であり、安心して使い続けられることです。同じシステムを使っても、ある利用者にとっては、システムの抱える不具合が許容範囲であり、別な利用者は許容できないかもしれません。

「信頼」とは、文字通り、信じて頼りにすることですが、それは気持ちの要素が大きいと思います。

「信頼」と比較すると「信用」は、気持ちの要素が少ないと思います。

たとえば、前述した「信用取引」は、証券会社からお金を借りて投資することですが、そこには担保が必要です。その担保を証券会社が評価して、顧客を信用するか否かは気持ちで判断するものでなく、もっと明確な評価基準があるはずです。また、顧客から見ても、信用取引を行う証券会社を選択する際、重要なのは、気持ちより証券会社の規模や取引実績を重視するはずです。

「信用」とは、文字通り、信じて用いることですが、それは用いるのに相応しい客観的なデータや実績の要素が大きいと思います。