叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

当サイトは、アフィリエイト広告を使用しています。

チェーンストアと個店

今日のランチは(も)マクドナルドでした。

マクドナルドはわが家から徒歩2分の場所にあるので、テレワークのランチで重宝します。

マクドナルドで連想するのは、むかし「スーパーサイズ・ミー」というアメリカのドキュメンタリー映画を見たことです。これは、監督が自らが実験台となり、1ヵ月間、毎日3食マクドナルドの商品だけを食べつづけることで、自らの身体や心にどういう影響を及ぼすかを記録した作品です。2004年の公開時、ファストフード文化に警鐘を促す作品として注目されました。

ただ、わたしはこの作品を観たとき、話題になるほどのインパクトは受けませんでした。いくらハンバーガーが好きでも、毎日3食がマックのスーパーサイズだとしたら、誰でも健康を害するはずです。それを以て、ファストフードを問題視するのは論点がズレていると思いました。

わたしは鍵っ子(両親が共働き)で育ったので、小学生の頃から、塾の行きかえりにマクドナルドを利用しました。マクドナルドだけではありません。小・中・高で過ごしたのは、小田急線沿線と京王線沿線だったので、これらの沿線に点在するファストフードにはよく行きました。小田急であれば、あらゆる駅にある「箱根そば」とか、京王沿線に多い、カレーショップC&Cは典型的です。

わたしの成長はマクドナルドと箱根そばとカレーショップC&Cが支えたと言っても過言ではありません。

そして、いまの日本のフードサービス業は、低価格のチェーン店であふれています。利用者からみると、低価格でも提供される商品は概して美味しいと思います。日によってお店を変えば、毎日、外食でも飽きません。そして、お財布にもやさしいワンコインです。いいことづくめです。

いっぽう、低価格のチェーン店であふれた現状を問題視するコンサルタントの意見もあります。

チェーン店は、ローコストオペレーションを実現するため、本部一括仕入れによる多店舗展開を行い、本部主導のメニュー作りや、販促活動などを行います。こうした本部集権型による規模の利益は、地域による趣向性の違いを店舗運営に反映できず、マニュアル化された顧客対応では、顧客満足を満たせないというのが要約です。

たしかにどの街に行っても、同じチェーン店が色をなしている光景は、看板がカラフルでもモノクロのようです。あまり魅力を感じません。

そんな街に、センスのよい個店があれば、そこに光を感じます。

わたしはチェーンストアを悪いとは思いません。

よく、消費者のニーズはモノ消費からコト消費へと、変わったと言われます。

コト消費とは、魅力的なサービスや空間設計等によりデザインされた「時間」を顧客が消費すること(経済産業省:「コト消費空間づくり研究会」報告書による定義)です。

日本のチェーンストア経営理論を確立した先駆者である、経営コンサルタントの渥美俊一はこう書いてます。

モノとコトを、分けて考えるのではなく、提供する商品そのものに、自分たちのあらゆる調査、研究、計画、実験、分析などの知的、肉体的努力の限りをこめる、そしてお客に買っていただく。これが、承認としての道なのである。
~「商業経営の精神と技術(渥美俊一)・商業界」より

コト消費の考え方はわたしも共鳴するのですが、お店に於いて何もよりも優先するべきは、魅力的な商品を提供することです。いくら店舗空間が快適でも、出された商品が美味しくなければ、リピートしたいとは思いません。

成功しているチェーンストアは低価格で美味しい商品を開発すべく、切磋琢磨しています。店舗の仕入や販売活動による各種の数値に基づき、厳密で効果的な計数管理が行われ、本部は小売店の経営をコントロールしています。どの街もチェーンストアであふれているのは、そこに勝てる魅力的な個店が少ないことを明かしています。

もしかしたら、日本は魅力的な個店が発展する機会が少ないのかもしれません。

というのは、日本では仕事とプライベートの切り替えがあいまいで、プライベートであっても、仕事の感覚を引きづってます。

確かに働き方改革、ワークライフバランスの施策は企業でも浸透してきて、サービス残業や休日出勤は減ってます。しかし、仕事帰りに飲みにいくのは、大抵は同僚ですし、休日にゴルフをする人も多いのですが、ゴルフ仲間も同僚がメインです。そして、コミニュケーションは同世代を行うのがほとんどです。そうすると、プライベートでも発想の根幹はビジネス思考で、同世代とのコミニュケーションだと、自分の価値観を変えるような刺激も少ないはずです。

会社が社員に求めるのは、生産性の向上です。そのために、1円の原価低減に奔走し、無駄な会議は削減し、報告は結論から先にと、指示されます。

これは仕事に於いて、まったく正しいと思うのですが、プライベートでも生産性のみを追求するのはちょっと違うと思うのです。

明日、飲みに行きませんか?

いいね、店、どうしましょう。

この店、食べログ3.5ありますよ。そこにしましょう。

仕事は生産性を向上するため、業務はトコトン効率化するべきですが、プライベートでは失敗も笑って済ませる社会がいいなと思います。