叡智の三猿

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消える仕事と変わらない夢

いまから9年前の2013年「THE FUTURE OF EMPLOYMENT(雇用の未来)」という論文が、オックスフォード大学でAIの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授により発表されました。

【要約】

  • 私たちは、仕事がコンピュータ化にどれほど敏感であるかを調べます。これを評価するために、我々は、ガウス過程分類器を用いて、702の詳細な職業のコンピュータ化の確率を推定する新しい方法論を実装することから始める。これらの推計に基づき、我々は、リスクにさらされている雇用の数と、職業のコンピュータ化の確率、賃金、学歴との関係を分析することを主な目的として、将来のコンピュータ化が米国の労働市場の成果に及ぼす予想される影響を検討する。(原文:https://www.oxfordmartin.ox.ac.uk/downloads/academic/The_Future_of_Employment.pdf

こちらの記事に論文をもとにした「10年後に消える仕事」が書かれています。皆さんがやっている仕事はこのなかにあるでしょうか!?わたしはこの表に書かれている「データ入力の作業」をしています。確かに入力作業をしながら「この仕事はいつまでも続くことはないだろうな」と考えたりします。


引用:オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)

「THE FUTURE OF EMPLOYMENT(雇用の未来)」が発表されて9年が経過しています。ということは、ここに書かれた仕事はあと1年(来年)で消えてしまうのでしょうか・・・。

それは違和感があります。

たとえば、日本のプロ野球では2018年から審判のジャッジが不服であればビデオ判定を要求できる「リクエスト制度」が導入されました。リクエストの成功率は大体30%のようです。これは想像以上に高いと思います。それだけ、プロ野球は誤審が多いことを物語っています。

もし、ジャッジにAIが導入されたら審判員より確実に正確性は高くなるでしょう。リクエストで試合が中断することもなくなるので、ゲーム進行もスムーズにいくでしょう。しかし、審判員の仕事が早々に無くなるとは思えません。審判員としては、自分の仕事がなくなることへの抵抗があるでしょう。野球機構としても、その分の雇用が確保できるわけでもないでしょうから、安易に審判員の仕事をなくすことはできないでしょう。

観客であるわたしたちも、AIが審判をする姿が腹に落ちない気もします。いま、存在しないものをイメージするのは難しいです。百歩譲って、プロ野球ならまだAIによるジャッジが想像できるかもしれません。しかし、たとえば相撲の行事がAIくんだったらどうでしょう??大相撲をいままでと同じように楽しむことができるのでしょうか。伝統的な価値を重んじる人たちがAI行事を受け入れるでしょうか。

AIとかDX(デジタルトランスフォーメーション)化が予定通りに進まないのは、技術的な課題ではありません。人間のあたまのなかには「受け入れがたい状況」や「潜在的な危機」に接したとき、それによる不安を、本能的に和らげようとします。そういう防衛本能が技術革新を遅らせている要因に思います。

ただ、現実はAIやDXの波は不可逆的です。

いまと変わらないことを願い続けても、結局は損をするだけだと思います。

世の中はいつも 変わっているから
頑固者だけが 悲しい思いをする

変わらないものを 何かにたとえて
その度崩れちゃ そいつのせいにする

シュプレヒコールの波 通り過ぎてゆく
変わらない夢を 流れに求めて
時の流れを止めて 変わらない夢を
見たがる者たちと 戦うため
~中島みゆき「世情」より

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