昨日(8/15) 等々力渓谷を散策しました。
渓谷を覆う森林は蝉時雨。天井からの暑さを掻き立てるような音も、遊歩道の下を流れる谷沢川の涼気に溶けていくようです。
森林に覆われた渓谷は、建造物がほどよく点在し、見た目にも癒されます。
等々力渓谷の近辺には、雰囲気の良さそうなカフェがいくつかありました。時間の関係で今回は入りませんでしたが、またの機会に森林浴を兼ねたコーヒーとスイーツを楽しむのもいいなと思いました。
渓谷を歩きながら、この心地よさの要因を考えました。
それは、自然の渓谷でありながら、景観を損ねない範囲で、整備が行き届いているからだと思いました。野放しの自然は怖いです。自然に人工物を組み合わせた、一定の秩序を与えることで、空間に文化的な香りが漂います。それが安心につながると思いました。
いまのインターネット空間は、文化的で安心できるのでしょうか!?
Twitterを見ると、誹謗中傷に溢れています。お互いが平気で心無い意見を相手にぶつけ、傷つけあっているように見えます。運営者側もクソリプ(クソなリプライ)を撃退する機能を開発し、問題ある投稿を自動削除しているのですが、増殖する荒れ放題の実態には追いついていけません。
Instagramは、個人個人が好きな写真と少ないコメントをアップするだけです。「いいね」を集めるための、映える写真は目につきますが、どれだけインスタを覗いても知的好奇心は満たせません。Twitterのような誹謗中傷は少ないのですが、人畜無害です。
SNSは他にもありますが、総じてどのSNSも文化的な香りはありません。SNSは暇つぶしの道具だと思います。
1990 年代、ネチケットという言葉が流行りました。ネチケットは、ネットワークとエチケットを組み合わせた造語です。インターネットを利用する際に心がけるべきマナーや規範を指します。
わたしがネチケットをはじめて意識したのは、「パソコン通信」と呼ばれる電脳空間上です。わたしは、NIFTY-Serveの会員として、ニフティ・フォーラムから、WindowsNTやMS-Exchangeなど、Microsoft関連の最新技術の情報交換をしてました。新しい技術書の多くは英語で書かれ、いまのように便利な機械翻訳は無いので、内容を理解するのが大変でした。ニフティ・フォーラムは、実際に操作をしているエンジニアからの情報が得られるので、とても重宝していました。
NIFTY-Serveでは、会員同士の専門知識を交換しあうことで、知見を皆で高めていこうとする風土がありました。その際、相手に不利益を与えたり、不快にしないために気をつけるべき事柄をネチケットとして定めていました。
ネチケットは2000年 のIT革命を契機として、パソコン通信からインターネットの掲示板や電子メール上でのマナーに展開されるようになりました。
インターネット利用 7か条
- インターネット社会でも、実生活と同じルールとマナーを守る。
- 他人のプライバシーを尊重する。
- 住所・氏名などの個人情報を入力する時は、十分注意する。
- ID・パスワードの管理を徹底する。
- 他人のミスを大げさに指摘しない。
- メールを送る前に、内容をよく確認する。
- 面と向かって言えないことは書かない。
~「守っていますか?ルールとマナー」(警視庁 サイバー犯罪対策課 対策係)より
いまや、ネチケットという言葉は死語です。ネチケットが生まれた背景は、ネットが普及して日が浅かったため、コミュニケーションのマナーを啓蒙させる必要がありました。
しかし、SNSの登場により、マナーなき投稿が常態化しました。もはや、啓蒙活動では追いつけないほど、ネットは無秩序になりました。そこに、ランサムウェアや、SQLインジェクションなどのサイバー攻撃が加わり、機密情報・個人情報が搾取されます。
渓谷のせせらぎをインターネット空間に求めるのは無理なのでしょうか。