叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

当サイトは、アフィリエイト広告を使用しています。

転がる石のように、誰にも見向きもされなくなった


Amazon.co.jp: 追憶のハイウエイ

Once upon a time you dressed so fine
Threw the bums a dime in your prime, didn’t you?
People call, say “Beware doll, you’re bound to fall”
You thought they were all a’kiddin’ you
You used to laugh about everybody that was hangin’ out
Now you don’t talk so loud
Now you don’t seem so proud
About having to be scrounging your next meal

How does it feel?
How does it feel?
To be without a home?
Like a complete unknown?
Like a rolling stone?

かつて、君はとても綺麗に着飾っていたね
乞食に金を投げつけたりしてたね
皆言ってたよ「気をつけなさいお嬢さん、今に落ち痛い目にあうぞ」と
それを君は冗談だと思ってたね
君はよく冷笑をしていた、皆が楽しそうにしているのを見て
いま、君は大きな声で話をしない
プライドも消えてしまった
次の食事をねだらなければいけないほどにね

どんな気持ちなんだい?
どんな気持ちなんだい?
住む家が無いというのは?
誰にも見向きもされなくなったというのは?
まるで転がる石のようになったというのは?
~Like a Rolling Stone(ライク・ア・ローリングストーン)/Bob Dylan

数あるロックミュージックのなかでも「ライク・ア・ローリングストーン」は名曲中の名曲として、歴代ナンバーワンに掲げられています。この曲のメッセージとメロディの革新性こそ、ロックの本質であり、時代が生んだ名曲とはこの曲を指すのではないでしょうか?

「ライク・ア・ローリングストーン」の歌詞を読むと、わたしは琵琶法師の平家物語の有名な出だし(祇園精舎)を連想します。

祇園精舎の鐘の声、諸行無常(しよぎやうむじやう)の響(ひびき)あり。沙羅双樹(しやらそうじゆ)の花の色、盛者必衰(じやうしやひつすい)の理(ことわり)をあらはす。おごれる人も久しからず、唯(ただ)春の夜(よ)の夢のごとし。たけき者も遂(つひ)にはほろびぬ、偏(ひとへ)に風の前の塵(ちり)に同じ。

奢り高ぶった人がいつまでも驕り高ぶっていることはできません。春の夜の夢のようにはかないものです。勢いのあった者も最後には滅びてしまいます。

万物は生滅流転し、常住不変ではないことを示しているのです。

わたしが社会人になったころ「会社の寿命は30年」と言われていました。わたしが新卒で入社した会社は100年以上続く伝統企業だったので、経営層の方々はよく「会社の寿命は30年」を引き合いに出して、100年以上続く自分の会社を高く評価して、若い社員に説法のように語っていました。

いまでもその会社は名前もイメージも変え存在しています。ただそれは没落してからの復活です。

2017年の東京商工リサーチの調査によれば「倒産した企業の平均寿命は23.5年」のようです。「会社の寿命は30年」の定説よりも7年近く短くなっています。どうやらIoTやAIに代表されるテクノロジーの進歩は会社の寿命を短くしているようです。最新のテクノロジーをビジネスに取り入れること(DX化)に成功した会社は寿命を延ばせますが、DX化に乗り遅れた会社は伝統ある大企業も倒産する時代になりました。

日本の大企業で動くシステムの多くが、部門ごとに構築されています。全社横断的なデータ活用ができなかったり、業務パッケージを導入しても、そこに過剰なアドオン・カスタマイズがなされています。情報システムが複雑化、ブラックボックス化しているので、システムの全体像を理解するエンジニアは少なく、多少の追加開発もリスクを伴います。DX化の必要性を経営層が認識しても、システムを刷新する為の莫大なコストをかけることに躊躇し、決断が出来ないでいます。

DX化が進まない会社はサイバー攻撃の絶好の標的になります。組織の管理する機密情報、顧客情報は暗号化して保管する必要があります。ISMS(ISO27001)では、業務フローに沿って情報資産の洗い出しをすることを定めていますが、ブラックボックス化した情報システムは、業務フローをシンプルに定義することが難しく、結果的に同じ内容のデータが分散して保管されています。

情報資産管理台帳(下記の内容を管理する台帳です)で、機密情報、公開情報を管理しても、情報の在り処を特定できない問題をはらんでいます。

  • 情報資産名
  • 情報の管理区分(公開情報、社外秘、極秘など)
  • 閲覧可能な範囲
  • 情報管理の責任者
  • 想定されるリスクと管理策
  • CIAの数値(機密性、可用性、完全性の値)
  • CIAの判断基準

望ましいのは、古いシステムにしばられDX化できない会社は、ビジネスから撤退し、新たな会社にとって代わることです。残念ながら日本はベンチャーを生む土壌がありません。旧帝一工や早慶上理と呼ばれる難関大学の優秀な学生が就職を希望する会社は、安定した大企業ばかりです。大企業のなかで高年収を維持し、それなりの出世をしていくことを望んでいますが、そこから飛び出して起業する、ベンチャー企業に転職をする人はごくわずかです。

このままいくと、日本全体が転がる石のごとく、国際社会から見向きされなくなるときが来るのではないかと心配です。