叡智の三猿

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短編映画「二つの光」を観ました

二つの光

新宿の映画館でハン・ジミンとパク・ヒョンシクが共演する映画「二つの光」が上映されているので行ってみました。ふたりとも大好きな役者です。朝、9時30分と上映は早い時刻なのですが、このふたりが出ているなら見なきゃ損です。


場所は伊勢丹の前にある明治通りを挟んだ側にある「シネマアート新宿」です。この映画館はアジア映画を多く上映しているようです。とても分かりやすいので迷うことはありません。


エレベータ出口にはふたりの写真(美男美女)がたくさん飾られていました!

この作品は30分の短編ラブストーリー映画とうたっていますが、実際はサムスン電子の視覚障害者支援のVRアプリのプロモーション映画です。ただ、商品名を連呼する訳では無いので、商業的な匂いはありません。

徐々に視力を失っていくピアノ調律師インス(パク・ヒョンシク)は、視力障害者が集う写真同好会で、アロマテラピストのスヨン(ハン・ジミン)と出会います。不安な気持ちに絡まれているインスと前向きなスヨンが真摯に対話しながら惹かれあっていくラブストーリーです。

30分のプロモーション映画なので、作品としての深みは限定されます。ただ、ハン・ジミンの目の表情が本当に視覚障害者のように見えます。これにはびっくりしました。素晴らしい役者さんであることを改めて感じました。パク・ヒョンシクの主題歌も聴けるのがいいです。


チケットカウンターで非売品のポストカードを頂きました。これは永久保存版です。

世界中から不平等を減らそう

この作品は、VR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)が登場します。VRゴーグルに取り付けられたカメラ映像は現実の映像とは異なります。光学シースルーと呼ばれるAR(Augmented Reality)技術により視覚障害者が見やすいように合成・加工されています。

障害のあるなしに関わらず、誰もが幸せに生きることができる社会であるべきです。

SDGsに掲げられた17の目標のひとつは「世界中から不平等を減らそう」です。

2030年までに、年齢、性別、障がい、人種、民族、生まれ、宗教、経済状態などにかかわらず、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめる。

IT技術が障害者をサポートし、見えないものが見える感動を与えることができればとても素晴らしいことです。障害者の支援に積極的に取り組んでいる会社は、より評価されることが望ましく、製品やサービスを購入する際の判断材料にしたいと思います。

一方で「障害者を支援する商品やサービスで利益が出るのか!?」と、疑問があります。特定のマーケットしかターゲットにならないので、適正な需給バランスにあった価格で提供するのが難しそうです。どんなに美しい理念を掲げる企業も、企業である限り、営利が目的です。企業は利益が見いだせない商材に惜しみなく研究開発に投資するのでしょうか。実際、劇中に登場したVR HMDはサムスンの製品(Gear VR)だと思うのですが、2020年には、Gear VRのサポートを打ち切っています。サポートを打ち切る理由はやはりコストに見合う利益が出ないからでしょう。

「自助」「共助」「公助」

人々の助け合いについてよく「自助」「共助」「公助」の言葉が引き合いに出されます。

「自助」は、自分自身の安全は自分で守ることを意味します。健康をサポートする器具を購入したり、保険に入ったりと「自助」は、消費を喚起する言葉です。

「共助」は、地域やコミュニティなどに集う人々が協力して助け合うことです。

そして「公助」は、国、市町村の持つ公的機関が助ける意味です。

このなかで経済発展に直接的に寄与するのが「自助」です。個人消費が大きくなれば経済規模が膨らみ、政府は多くの消費税収入を得ることができます。反面、「共助」や「公助」は経済発展には直結しないかもしれません。

しかし、自分たちの幸せについて考えると、経済は必ずしも重要な要素ではないと思います。たとえば、この映画では視覚障害者の写真同好会が登場します。主演のふたりと同様に同じ、障害を持った人たちによる助け合いは心をうたれます。これは「共助」を意味するのですが、この同好会の活動による経済的な価値はほとんどありません。しかし「幸せ」には大きく寄与します。

そして積極的な「公助」こそが、SDGsに掲げられた、すべての人が、能力を高め、社会的、経済的、政治的に取り残されないようにすすめるために必要なことだと思います。

「自助」「共助」「公助」について、優先順位を語る際、「自助」>「共助」>「公助」という意見が多いと思うのですが、逆じゃないかと思います。