叡智の三猿

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ネットフリックスの会員数が減少した記事をみて

もっとも最近、観たネットフリックスのドラマで感動したのは、韓国ドラマ「二十五、二十一」です。いままで「愛の不時着」を超える韓ドラはないと思っていたのですが、このドラマは「愛の不時着」に匹敵する名作だと思いました。

舞台は1998年。1997年に起きたアジア通貨危機(IMF危機)により、没落した家庭の長男、ナム・ジュヒョク演じるペク・イジンと、IMFでチームが消滅した高校生のフェンシング選手、キム・テリ演じるナ・ヒドのラブコメです。どこか影のある役を演じると圧倒的な存在感を放つナム・ジュヒョクと、30歳を超えても高校生を演じるカメレオン女優のキム・テリの相乗効果に魅せられます。

そして主演のふたりを含めた5人の若者が描く群像劇がはかなくも美しいのです。あのころ、永遠に一緒にいると思っていた絆・・・ときは経過し、誰もが成長し、縁は遠のいていきますが、青春に刻まれた1ページは永遠に輝いています。

ラストは賛否両論あるようですが、ネットフリックスの加入者であれば是非とも観てほしいドラマです。

韓国ドラマをメインにネットフリックスが大好きなわたしですが、その会員数が20万人減少したニュースは波紋を呼びました。この要因は、コロナ禍による巣ごもり需要が減少したことと、ロシアによるウクライナ侵攻を機にロシア事業を中断しことがあります。

www.nikkei.com

もともと、ネットフリックスは、250万人の拡大を見込んでいたようです。計画は大きく外れました。

ネットフリックスは非常にシンプルなサブスクリプションサービスで構成されています。料金プランはベーシック、スタンダード、プレミアムの3種類のみで、いずれのプランを選択しても利用者はインターネット上の簡単な手続きのみで開通が完結します。

また、ネットフリックスは、個々の会員が選択した番組を把握し、番組を最後まで見たのか、離脱したならどのシーンで離脱したかまで把握しています。膨大な顧客データをもとに個々の顧客の行動を分析し好みそうな番組を案内します。わたしもネットフリックスの愛用者(スタンダードプラン)ですが、レコメンド機能をきっかけとして見た番組の数はかなりあります。ネットフリックスは綿密なカスタマーサクセス戦略によりチャーン(解約)を防ぐ施策を講じています。

ネットフリックスのようなシンプルなビジネスモデルかつ先進的なIT企業でも利用者の加入予測を外したのです。確かに70万人の利用者がいたロシア事業の中断は想定外だと思いますが、それを差し引いても計画と実績のかい離は膨大です。あの世界的なネットフリックスでされ、正確な予測が立てられないわけですから、日本にあるどの会社でも行っている需要予測とか、予測に基づく計画策定にどれだけの信頼性があるのでしょうか?・・・疑問です。

わたしたちのビジネスシーンでは「PDCA」という言葉をよく使います。これは仕事の生産性を向上させるための基本的な考え方です。知っている方も多いと思いますが、PDCAは、PLAN、DO、CHECK、ACTの頭文字をとった言葉です。

  • PLAN (計画)目標を達成するための計画立案
  • DO(実行)計画に対するタスクの遂行
  • CHECK(評価)タスク遂行後の結果の検証
  • ACT(改善)軌道修正後の改善の実行

PDCAはビジネスで使うことが多い言葉ですが、学校の受験勉強でも使えるでしょう。学習カリキュラムを組む(PLAN)⇒勉強する(DO)⇒問題を解く(CHECK)⇒弱点を補強する(ACT)といった具合です。

PDCAは個々の単語がつながっている言葉なのですが、大きくPとDという「計画に基づく実行」と、CとAという「検証に基づく改善」に分かれます。一般的にわたしたちが「PDCA」という場合、前者の「計画に基づく実行」を「検証に基づく改善」よりも重視していると思います。それは「PDCAサイクル」という表現に現れます。サイクルという言葉を「PDCA」につなげることで「改善(A)⇒計画(P)」の流れを作っています。すなわち、PDCAの本質は、サイクルを回すことで「計画(P)の精度をあげる」ことを目指しています。

しかし、先にあげたネットフリックスのような先進的なIT企業でも計画は外れます。

わたしは「計画の精度をあげる」ことに注力するより「計画は外れる」ことを前提にした仕事をする方が現実的だと思います。それは、ビジネスの常識とされる「精度が高く、具体性のある計画を策定し、計画に基づく仕事を実行する」ことよりも「仕事の結果を評価し、改善すべきポイントを見出す」ことを重視することです。これは学校の受験勉強も同じです。完ぺきだと思う学習カリキュラムを策定し、カリキュラム通りに教科書や参考書を熟読しても成績はなかなかアップしません。それよりも、問題集を繰り返してこなしていき、間違った箇所を見直すことに時間を割いた方が成績がアップします。