叡智の三猿

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アイドルの養成とリスクコントロール

韓国ドラマ「バガボンド」を見たとき、余りにもスケールの大きなアクションに驚嘆しました。むかし見たアメリカのTVドラマ「24 -TWENTY FOUR-」に勝るとも劣らないと思いました。そして、主演女優のぺ・スジが清楚で綺麗だと思いました。
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ぺ・スジ主演作としてはその後「スタートアップ」「あなたが眠っている間に」でも美しいことを再確認しました。ぺ・スジは韓国女優という認識だったのですが、実はmissAというK-POPアイドルグループの一員だということは後から知りました。

韓国ドラマではK-POPアイドルが主演を務めてヒットすることが少なくありません。

歌手と女優の二足の草鞋を履いて大成功した筆頭はなんといってもIUでしょう。「ホテルデルーナ~月明かりの恋人~」「麗~花萌ゆる8人の皇子たち~」などのヒット作品の主演を果たす一方で、2021年も歌手として精力的な活動が評価され多くの賞を受賞しています。

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アイドルというと演技力も歌唱力も中途半場なイメージ(偏見?)がわたしにはあるのですが、K-POPアイドルの歌唱力は極めて高いことにビックリします。

特に「応答せよ1997」の主演で一躍スターになった、Apinkのメインボーカルをしているチョン・ウンジは別格の歌唱力で、アイドルというフィルターをかけて聴くべき歌声ではありません。安定かつ透き通るような高音は芸術そのものだと思います。
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わたしがアイドルの歌唱力に対して偏見をもっているのは、生まれた世代にも影響しているかもしれません。わたしの青春は1980年代です。アイドル全盛時代です。多くの人気アイドルが誕生しました。中でも1982年度にデビューした「花の82年組」と呼ばれるアイドルたちの人気は絶大でした。そして、このアイドルたちは確かにかわいいのですが、皆が歌唱力があるかといえば、No!と言わざるを得ません(もちろん、優れた歌唱力を持つアイドルもいました)。

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J-POPと比較するとK-POPは、歌唱力やダンス力に関して明らかに優れています。この件について、J-POPの衰退を危惧するような記事や投稿を見ることもあります。

ただ、そのような意見については、わたしはやや異なるスタンスです。そもそもJ-POPアイドルは、アイドルの養成にあたって、歌唱力やダンスを高めることにあまり重きを置いていないからです。そこが厳しい練習生生活を送るK-POPアイドルと根本的に養成方針が違います。

アイドルの養成をリスクマネジメントの視点で書きます。下図はリスクを概念的に示しています。期待値とは、そのアイドルがどれだけ売れるか(利益をもたらすか)を推測した値を捉えてください。リスクとは期待に対する乖離です。乖離は不確かさの幅ですので、乖離が大きいということはリスクが大きいことを示します。
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一般的にリスクというと、期待に満たない危険をイメージしますが、実は期待以上の結果をもたらすことを含んでいます。ちなみに期待に満たない(損失)を「純粋リスク」と呼びます。

さて、アイドルに必要な能力は「かわいさ(かっこよさ)、歌唱力、ダンス力」でしょう。そのうち、かわいさ(かっこよさ)については、選考会でふるいにかけられるでしょう。そうすると、残された能力は歌唱力とダンス力です。リスクマネジメントの視点で、期待に満たないリスク(純粋リスク)を最小限に留めたいと考えた場合、養成方針は徹底して、歌唱力とダンス力を向上させることです。かわいさ(かっこよさ)は、ある程度、主観的で人によって好みが分かれることが多々ありますが、歌唱力やダンス力は客観的です。歌唱力のある人は誰が聴いても、歌唱力があると感じるはずです。

K-POPアイドルたちの歌唱力、ダンス力が優れているのは、純粋リスクをゼロにする為の徹底した訓練が行われているからだと理解できます。

一方、リスクを「保有」するという考え方があります。これはリスクコントロールで使う言葉です。

リスクコントロール

  • リスク低減:発生頻度や影響度を下げるための対策を講じること。
  • リスク回避:発生要因そのものを排除すること。
  • リスク移転:リスクを他者(社)に転嫁すること。
  • リスク保有:特段の対策を実施せず、現状のリスクを受け入れること。

リスクを保有すると期待値との乖離が大きくなります。アイドルの養成であれば、歌唱力、ダンス力の教育をそこそこにしておくというのは、リスクを保有(若しくは小さな低減)する考え方といえます。

そうすると、アイドルが期待通りに売れない結果が当然ながら予想できますが、不確かさも大きいので、期待をはるかに上回る結果をももたらす可能性もあります。

〇〇って、素人とプロの間くらいの絶妙さが良いんですよね。

こんな風に思われたら、そのアイドルは利益をもたらすアイドルですね。そして、J-POPアイドルは正にそこを狙っているんだと理解できます。