叡智の三猿

〜森羅万象を情報セキュリティで捉える

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スピードとスロー

適正な車間距離

車を運転する際、車間距離は速度と同じメートル数をあけるようにと言われますね。

  • 時速40キロなら40メートル
  • 時速80キロなら80メートル

という具合です。

ただ、これだけの車間距離をとれば絶対に安全かといういうと、そうでもなさそうです。

前の車のブレーキを踏んだことを認知して、自分の車のブレーキを踏んで減速出来るまでの時間があります。

この認知して反応するまでの時間には個人差があります。そして、高齢者になるに従って、この反応に時間がかかることが裏付けされています。

下の図は民間法人・自動車安全運転センターが行った2004年に行った調査です。10代から80代までのドライバーを対象に、時速40キロで車を走らせ、ランプが点灯したら、急ブレーキを踏みます。そこから停止するまでにどれくれいの距離が発生したかという調査です。高齢者になるととっさの反応が鈍くなっていることが一目瞭然です。

加齢とともに延びていく停止距離

適切な車間距離を考える際、前の車がトラックだったりすると、その前が見えなくなるため、思いもよらない停止が発生する可能性があります。タクシーの場合も乗客の乗り降りで急に止まるかもしれません。トラックやタクシーの後ろにつけるのは、極力控えるのがベターです。やむを得ない場合は、車間距離を長めにとるようにした方が安全です。

天候も重要です。雨であれば車間距離は2倍あけるのが安全とよく言われます。

適切な車間距離の保ち方は案外と難しいのです。スピードを出すと事故のリスクはより高くなります。

「車は走る凶器」と言われますが、本当にそうだと思います。怖いたとえ方ですが、それは出刃包丁を前に突き出した人間が、時速40キロで進むようなものです。想像しただけで震える光景です。

「走る凶器」が、スピードをあげたら、もっと恐ろしい凶器です。10キロオーバーまでは許容範囲という奇妙な常識がありますが、それはまったくの嘘です。法定速度が40キロならそれ以上のスピードを出してはいけません。

スポーツカーが売れている!


ところで、いまスポーツカーが売れています。その人気を支えているのはバブルに酔いしれた、わたしの世代からちょいと上のあたりです。日産のフェアレディZや、トヨタのスープラなど・・・若かったあの頃に憧れていた車に人気があるようです。

エンジンの回転音と加速感の心地よさは、次世代のEVカーでは味わうことは出来ません。スポーツカーを買うならいまがラストチャンスかもしれません。

しかし、あの頃よりも確実に身体能力は衰えています。スピードの出しすぎは絶対にダメです。

スピードは一種の麻薬のようなものかと思います。

車を走らせる爽快感と裏腹に、赤信号で止まると、心の中で「チェ!」と舌打ちします。連続して赤信号で止まると「今日はついてないな」と、なんかイライラしてきます。

でも、赤信号で止まったからといって、行きたい場所にいけなくなるわけではありません。よほど、切羽詰まっていなければ、イライラする必要性はないのです。まさにスピードは麻薬であり、赤信号で麻薬が切れたからいら立つのです。

スピードを求める本能は、心のゆとりないことの現れです。

スローライフの定着

Slow down, you move too fast
(ゆっくり行こうよ、そんなに早く行かないでさ)
You got to make the morning last
(さっき朝食もたべて)
Just kicking down the cobblestones
(石ころを転がしながら)
Looking for fun and feeling groovy
(楽しく過ごそう、いい気分)
Ba da da da da da da, feeling groovy
(ああ、いい気分)
~The 59th Street Bridge Song (Feelin’ Groovy)/Simon&Garfunkel

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モータリゼーション真っただ中の1966年、Simon&Garfunkelは「59番街橋の歌」という、短く軽快な曲を発表します。

この歌の歌詞にあるとおり、スピードに対抗するスローを求める感覚が人間の心には確実にありました。

そしていま「人生をゆったりと楽しもう」とする、スローの思想はひとつのライフスタイルとして定着しつつあります。会社は「働き方改革」のもと、有給取得を義務化し、残業ゼロを推奨しています。社員が白馬などのリゾートでテレワークを活用し、働きながら休暇をとる「ワーケーション」もスローの思想です。