叡智の三猿

~情報セキュリティで森羅万象を捉える~

脳は要領がよくミスの発見には向いてない

前回は、メールの誤送信を防ぐための対策を書きました。これは人間がミスを発見することを念頭にしています。
www.three-wise-monkeys.com
しかし、人間がミスを発見するのは限界があります。

たとえば、以下のひらがなで書かれた文章を読んでみてください。

  • こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんきです。

どうでしょうか!?多くの方はこの文章を多少の違和感は感じつつー

  • こんにちは 皆さん お元気 ですか? 私は 元気です。

と読んでいると思います。なかには全く違和感を覚えることなく、読む人もいると思います。

しかし、ここに書いたひらがなの文章は以下のように多くのミスをしています。

  • んちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんきです。

これだけたくさんのミスをしているにも関わらず、文章が読めてしまうのは、人間の脳がとても要領よくできている証です。

しかし、この脳の要領の良さは「ミスを発見する」点に於いては、マイナスに作用します。

ミスを撲滅するには、人間がミスをチェックするのに頼るのではなく、ミスをしないためのシステムを作ることが重要なのです。

そこで注目するべきはRPAです。RPAは「Robotic Process Automation」の略です。ロボット技術による業務プロセスの自動化を指します。RPAが得意とするのは、手順がしっかり決まっている作業わかりやすい単純作業、さらには繰り返し作業です。こうした作業をRPAはミスなく、迅速に、休むことなく実行します。

たとえば、月末に得意先に対する請求書を送付する仕事を考えてみましょう。

請求書はエクスプローラのフォルダにPDFファイルで格納されています。PDFファイルの名前は得意先企業名が表示されています。得意先はエクセルの台帳で管理され、そこには得意先企業名、得意先担当者名、得意先担当者のメールアドレスが記載されています。請求書を送付する文面は定型文で、メーラーはアウトルックを使います。

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請求書のメール送付

作業は単純です。新入社員でもすぐに出来るでしょう。

しかし、数の多い得意先に対して、100%正しい得意先担当者名をメール文に記載して、100%正しい請求書のPDFファイルの添付を行うのは難しいのです。

このような仕事をRPAは得意としています。

RPAを実現するには、人間パソコン操作を次のようなタスクやアクティビティといった細かな作業に置き換える必要があります。

  1. アウトルックを起動する。
  2. エクセル台帳を起動する。
  3. アウトルックの「新しいメール」をクリックする。
  4. エクセル台帳に記載されたメールアドレスを宛先に転記する。
  5. 件名に定型文を記載する。
  6. メール文の先頭に得意先企業名と得意先担当者名を入れ、後ろに「様」を入れる。
  7. 定型文をメール文に入れる。
  8. アウトルックの「挿入」⇒「ファイルの添付」をクリックする。
  9. エクスプローラのフォルダを選択する。
  10. フォルダから得意先企業名と一致するPDFファイルをクリックする。
  11. 「挿入」ボタンをクリックする。
  12. 「送信」ボタンをクリックする。
  13. 項番3に戻る。

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このように細かな作業で書くと、単純作業とはいえ、実に多くの操作を行っていることが分ります。RPAにこのような操作を記憶させれば、RPAはきっちりと操作を実行してくれます。

RPAのイメージはなんとなくわかっても、これを作るのは難しい印象を持つ方もいるかと思います。

しかし、世の中に出ているRPAのツールは意外にとっつきやすいものが多いと思います。

たとえば、下の動画GIFはUiPathというRPAツールを使って、メモ帳に「あいうえお」という文字を自動で入れています。これは自動レコーディングという初歩的な機能を使っていますが、この程度であればものの数分で作れてしまいます。
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自分の会社でRPAを導入しようと思ったら、まずは自分でRPAを試してみて、イメージをつかみ、RPA化する仕事を決めてプロのエンジニアに依頼するのがよいと思います。