叡智の三猿

~情報セキュリティで森羅万象を捉える~

カラーバリエーション

経営の神様、ピーター・ドラッカーは数々の経営に関わる提唱をしました。わたしが大学を卒業して入社した会社で、上司から読むことを勧められたのは、ピーター・ドラッカーの本の数々であり、一冊、読むごとに所感を書いて提出した記憶があります。

ピーター・ドラッカーの提唱した言葉のひとつ選択と集中は、多くの人が知っています。

成果をあげる人は、多くのことをなさなければならないこと、しかも成果をあげなければならないことを知っている。したがって自らの時間とエネルギー、そして組織の時間とエネルギーを、一つのことに集中する。もっとも重要なことを最初に行うべく、集中する。
ピーター・F・ドラッカー「プロフェッショナルの条件」より

選択と集中」は歯切れのいい言葉です。今日まで経営のあらゆる場面で「効率化」の目的で使われています。

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ある電機メーカーでSCM(サプライチェーンマネジメント)の導入SEとして参画したとき、「選択と集中」を巡って、お客様と議論になったことをよく思い出します。

その電機メーカーは商品の差別化戦略で、カラーバリエーションを重視していました。同じ機能、形状を持つ商品に、白・赤・黒・・・とカラーバリエーションを備えることで、品揃えを豊富に見せていました。

しかし、実際に売れるのは、白が圧倒的でした。

そこでわたしは次のようにお客様に提案しました。

見込み生産の在庫を適正化する特効薬は「選択と集中」だと思います。御社はカラーバリエーションを展開していますが、実際に売れるのは「白」ばかりです。「白」以外の色の生産をやめることで、無駄な在庫を大幅に減らすことが出来るはずです。

わたしのこの提案に噛みついたのは、商品開発を行なっているエンジニアでした。その方は不服な表情で次のように言いました。

それは、ビジネスを知らない人間が言う戯言(たわごと)ですよ。カラーバリエーションは商品構成の戦略上、非常に重要なんです。店舗にいろいろなカラーを揃えて置くことで、お客様の目を惹き、結果的に「白」が選ばれているんですよ。

感覚的には分かりますが、本当に店舗の陳列棚にいろいろなカラーが揃っていて「白」が選ばれているんですか!?この前、●●(☜某・電気屋さん)に行きましたが、御社の製品は「白」しか置かれてませんでした。たくさんあるブランドのひとつにしか見えなかったです。お店から見れば、売れ筋でない色の商品を置く意味はない気がします。

ずいぶん昔の話しですが、この議論はとっても楽しく、深夜になるまで盛りあがったのを覚えています。

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カラーバリエーションを重要な商品戦略としている業界といえば、なんといってもアパレルです。

アパレルでは商品(服)の形状・機能を品番と言うくくりでコード化しています。そこにカラーとサイズ(S・M・L・・)を組み合わせてSKUという単位で別に管理をしています。アパレルの情報システムでは、品番とSKUをそれぞれデータ管理出来ることが必須要件となります。

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カラーバリエーション

現在のアパレル苦境の元凶は、カラーバリエーションありきで見込み生産をしていることだと思います。色が豊富にあると確かに商品棚の見栄えもよく、購買意欲をそそることは分かるのですが、売れ筋でないカラーを見込み生産で作るのは不良在庫の要因です。

サイズは仕方ない(人の身体はそれぞれなので)面がありますが、カラーはシビアに選択する必要があると思います。

過剰在庫の問題だけではありません。染色工程における水質汚染は環境的にもかなり問題が大きいのです。