叡智の三猿

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「梨泰院クラス」にハマりました!

楽しい韓流ドラマ(Netflixに入って良かった!)

コロナ禍で生活がいろいろと変わったわたしです。

その一つが「韓流ドラマにハマった」ことです。Netflixの契約をして「韓流ドラマ」を見る機会が爆発的に増えました。

韓流ドラマの魅力は、ひとつのドラマの中にチャンぽんの如く、いろいろな要素が混じっていて、先の展開が読めないところです。

  • コメディあり
  • サクセスあり
  • 青春群像劇あり
  • 恋愛あり
  • 復讐あり
  • 悲劇あり
  • サスペンスあり
  • 社会性あり
  • ファンタジーあり

毎回、話が目まぐるしく進み、特に各回の終わりで、話の展開が変わり「次を見たい!」と思わせる演出が巧みになされています。

NetflixというとIT業界では、フルサイクルエンジニア(開発から運用までを同じチームでみる)を実現させた先進企業として知られています。キレのある会社は一味違うのですね。Netflixに加入したのは、マイナス影響の大きいコロナ禍における希望のひとつです。

「梨泰院クラス」にハマりました!

わたしがいちばんハマったのが、月並みではありますが、ラブコメの神と呼ばれるパク・ソジュン主演の「梨泰院クラス」です。Netflixではヒョンビン&ソン・イエジンの「愛と不時着」と人気を二分していました。あらすじは次の通りです。ここまでであれば、ネタバレとまではいかないです。まだ見ていない方もご安心ください🤗

(あらすじ)
正義感の強い高校生、パク・セロイは、転校初日にいじめを目撃します。加害者は居酒屋チェーンを展開する大企業、長家の会長(チャン・テヒ)の息子、チャン・グニョンです。隣の席にいるスアが、いじめ止めに入ろうとするセロイを制するも、いじめを止めに入り、グニョンを殴ります。それが原因で、セロイはチャン会長に土下座を要求されます。しかし、セロイは自分の信念を曲げず、退学処分となります。さらに長家に勤めていたセロイの父、パク・ソンヨルは退職します。その後、セロイの父はグニョンの運転していた車に轢かれ死亡します。

それをお金で解決し、もみ消しにはかる長家・・・。それを知ったセロイは、再びグニョンを殴り、殺人未遂の罪で服役します。

2年後、長家への復讐を胸にスアの住む梨泰院で居酒屋を開業する決意を固めます。そこに高校生、イソと出会い・・・

理不尽な世の中に打ちのめされながら、長家と対立を繰り広げながら、仲間と会社を発展させる復讐劇です。

性善説と性悪説

梨泰院クラスの面白さは多々あります。パク・セロイの強い信念への共感、セロイとスアとイソの三角関係(このドラマを観た方は、スア派とイソ派に分かれると思います)の行方。

わたしはこのドラマを「性善説」「性悪説」の関係で楽しみました。

性善説の経営

セロイは父から「信念を持って生きる」ことを言われ、それを実践します。セロイは融通の利かない堅物ですが、信念が周りの人を惹きつけます。スアは、セロイが変わらず、いつもまばゆいほど輝いている姿に惹かれています。

セロイの信念は「性善説」を唱えた儒学者、孟子の言葉

「千万人と雖も吾往かん(せんまんにんといえどもわれゆかん)」
自分の考えが正しいと思ったら反対者がどれだけいようと、恐れることなく信じる道を行きなさい。

に通じます。

「性善説」とは「生まれつき人が持っている性質は善である」ということです。

パク・セロイは仲間を信じて梨泰院で居酒屋を経営します。

「性善説」による経営手法は、人を問題にするのではなく、会社の成長を妨げるコト(ボトルネック)を見つけることです。ボトルネックを改善していくことで、会社を成長させます。

「性善説」に基づく経営理論として有名なのが、TOC(制約条件の理論)です。TOCの原典である、ザ・ゴール(エリヤフ・ゴールドラット)には、次の業務改善ステップを記載しています。

  • ステップ1:制約条件を「見つける」。
  • ステップ2:制約条件をどう「活用する」か決める。
  • ステップ3:他のすべてを「ステップ2」の決定に「従わせる」。
  • ステップ4:制約条件の能力を高める。
  • ステップ5:ここまでのステップでボトルネックが解消したら「ステップ1」に戻る。

TOCの考え方は砂時計を例に取ると分かりやすいかもしれません。砂時計の砂が落ちる時間は中央のくびれた部分(オリフィスといいます)に制約されます。砂時計の砂の落ちる時間を半分にすることが目標と仮定すると、オリフェスが狭いことがボトルネックとなるコトです。オリフェスの空間を2倍にする(制約条件の能力を高める)ことで、ボトルネックは解消され、砂時計の砂の落ちる時間は半分になります。

砂時計のオリフィス

「性善説」に基づく経営は一見、シンプルです。しかし「人を問題にしない」で、コトに着目して問題を解決するのは、理想主義的です。この方法で組織を成功に導くのは、かなり困難なチャレンジです。

性善説の経営

一方、天敵であるチャン・テヒが経営する居酒屋チェーン「長家」は「性悪説」に基づく経営を行なっています。

「性悪説」は荀子が書き記した「荀子」の一編にあるこの言葉です。

「人の性は悪にして、その善なる者は偽なり」

これは「人の善良なる精神は、生まれつき備わったものではなく、体験が学習を通じて得たもので、結果論にすぎない」ということです。

「性悪説」にありがちな誤解は「人は生まれつき悪である」ということから、人の成長・発展は見込めないというものです。

これは誤っています。「性悪説」も「性善説」と同じように、人が成長する可能性を信じています。「性善説」も「性悪説」もゴールは同じと考えられます。ただ、そこに至る方法が異なります。

「性悪説」で重視するのは、安全を確保することです。安全を阻害する要因を取り除いていくことで、経営上のリスクを低減・回避していく経営手法です。

「性悪説」の経営では、中央に絶対的な権力を持った人がいます。全ての情報がそこに集められます。そこで意思決定されたものに従って、現場は動きます。現場が自ら判断して動く、自由はあまりありません。組織全体が「力を合わせて一つの方向に突き進んでいく」動き方を実現する為、経営者は「飴と鞭」を使い分けます。飴は高い報酬や役職です。鞭は解雇や左遷です。

「長家」の会議でピリピリした雰囲気があるのは「飴と鞭」があるからです。

「長家」のチャン会長が好きな四字熟語は「弱肉強食」です。弱い者は強い者に呑み込まれることを受け入れるしかない生態系の秩序を重んじ、それを経営に取り入れています。

弱肉強食