叡智の三猿

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愛と正しさに生きる

愛と正しさに生きる

社会学者の宮台真司は、少年期の体験から「人は愛と正しさに生きなければならない」と訴えます。そのコラムのなかで「正義」についてこのようなコメントを寄せています。

正義とは、法律に書いてあるから、みんなが言っているから、ではありません。困っている人を法を破ってでも助けることも、正義でありえます。法を破って助けるか、法を守って見捨てるか。真っ白な正義などありません。戦争や死刑執行の場では、人を殺すことさえ正義だとされます。正しさは、時代や状況で変化するもの。だから、自分で考えるべきなのです。
社会学者の宮台真司さん 友達って何?/プロに聞く - 社会 : 日刊スポーツより

SNSを駆け巡る「誹謗・中傷」について考えます。

「誹謗・中傷」とは「根拠のない悪口を発信することで相手を傷つける」ことです。それはやってはいけないことです。しかし、攻撃する側はきっと「悪口を言おう」とは思っていないでしょう。その人のなかでは「正義の鉄拳」を下している気持ちかもしれません。

「誹謗・中傷」の代表といえる特定の民族や出身国に対する「ヘイトスピーチ」でさえ、それを言っている側は「自国への愛国心」を掲げているつもりかもしれません。

「誹謗・中傷」を完全に無くすのは難しいと思います。

ネット上の誹謗・中傷

宮台真司の「正しさについて、自分で考えるべき」という言葉は重要です。

「誹謗・中傷」発言を見ると「この人は感情に任せて書き殴っているだけで、なんら考えて発言はしていないよな。」と、わたしは思います。「誹謗・中傷」で有益な情報は、ひとつもありません。読むことが時間の無駄です。読む価値のない情報を書く人は、書くことを時間の無駄とは感じないのでしょうか・・・!?

2020年7月20日、タレントの春名風花さんがSNS誹謗中傷の示談が成立したことをご自身のTwitter公式アカウントと、YouTube公式チャンネルで報告しました。そこで「相手の人格や生活を破壊するだけの暴力や批判の度を超えた単なる嫌がらせは誰も幸せにしない。今は気持ちよく書いてストレス発散できるかもしれないが、そういう悪意は相手だけでなく自分にもダメージを与える」と、非常に説得力のあるメッセージを出しました。
www.itmedia.co.jp
「愛と正しさに生きる」とは「人の為に有益な情報を考えて発信する」ということだと思います。

SNSのなかでも特にTwitterは140文字という制限があります。その制限の範囲でどれだけ「人の為に有益な情報」を発信することが出来るか・・・。それを考えると「誹謗・中傷」のような無駄な情報を書く余裕はないのです。

情報の特性

SNSは良くも悪くも、「情報の特性」を活かしたコミュニケーションの道具です。

「情報の特性」について書きます。

1)情報の価値は人により変わる
例えば広島カープのファンにとって、カープの選手の情報は価値があるでしょう。しかし、プロ野球に興味のない人にとってはどうでもいい情報かもしれません。また、広島カープが嫌いな人にとっては、読みたくない情報かもしれません。

2)情報は消えにくい
モノは人に渡せば、その人の手元にはなくなります。しかし、情報は誰かに伝えても、その人の記憶から消えるわけではありません。うわさ話がなかなか消えないのはこのような情報の特性にあります。

3)情報は複製ができる
例えばSNSに悪口を書いて、それを後から消そうとしても、既にその情報は別な人にコピーをされているかもしれません。「人の噂も七十五日」ということわざがありますが、たとえ記憶は七十五日で消えても、記録はいつまでも残るかもしれません。

4)情報は伝播して広がる
情報は人から人へと伝わります。特にSNSは情報を短時間に一気に拡散することが出来ます。フォロワーの多い有名人に対する誹謗・中傷が広がるのは、このような情報の特性が原因となっています。

こうした「情報の特性」は、モラルを持って活用すれば、有益です。しかし、モラルがなければ、捨てたくても捨てられないやっかいなゴミクズです。

口コミグルメサイト

よくレストラン選びで「口コミグルメサイト」が使われます。これはユーザーが投稿した発言で成り立っています。そのお店を利用した感想や評価は口コミで伝播します。ユーザーが本音でお店を評価していますので、お店選びを検討している人にとって便利なサイトです。一方、お店にとっては、まずい料理やサービスを提供したら、低い評価をされるかもしれません。

口コミの評価をあげるため、お店はQSCをあげる為の経営努力をします。

ちなみにQSCとは飲食業の経営における行動指標です。

  • Q:Quality(品質)
  • S:Service(接客)
  • C:Cleanliness(清潔さ)

の頭文字をとった言葉です。QSCは、どれかひとつでもかけたらダメとされます。

QSCの向上
しかし、もし「口コミグルメサイト」に掲載されているお店が「誹謗・中傷」に溢れていたら、それを見る人はどう感じるでしょうか。

「隣の客が騒がしく不快だった」
「◯◯というヤツの接客が悪かった」
「料理人の顔、気持ち悪すぎ」

こういう自分本位の悪口コメントは、お店にとって迷惑なのは当たり前ですが、読む人にとってもなんら有益な情報を与えるものではありません。