叡智の三猿

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RCサクセションが流れる今昔

たまらん坂

こちらは、5月24日に撮影した「たまらん坂(東京都国立市国分寺市)」のふもとの標柱です。

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たまらん坂
この翌日、政府は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言を継続していた東京など首都圏の1都3県と北海道を解除しました。東京は26日から休業要請解除のステップ1に進み、経済活動を再開させました。

新型コロナの感染者はここから1ヶ月が経過したいまも依然として続き、健康への不安は拭えません。しかし、経済を止めるのは「たまらん!」ということで、わたし達は「たまらん、たまらん」と思いながら坂を登っています。坂を無事に登るきることができるかで、来年の「東京オリンピックの開催」「景気の復活」がかかっています。

「カバーズ」の発売禁止

さて、いまから32年前の朝日新聞の記事(1988年6月23日)です。とても懐かしいです。

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原発ロックの発売中止
この時期、わたしは大学生でRCサクセションの大ファンでした。ニューアルバムを楽しみにしていたのにいきなり発売中止になり驚き、怒りました。

なぜ、発売中止になったかというと、明確な理由は示されていないのですが、RCサクセションのアルバムをリリースする予定であった東芝EMIが親会社である東芝配慮したことが原因と言われています。

カバーズには「反原発」のメッセージソングが2曲あります。そして、東芝原発産業を推進していました。

日本国憲法の第二十一条では「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」としています。

カバーズ発売中止は表現の自由を脅かすものとして大きな波紋を呼びました。

カバーズは結局、東芝EMIからではなく、RCサクセションがかって在籍していたキティレコードから発売されました。

この夏の野音ライブに聴衆のひとりとして、わたしもいるのですが、ものすごく盛り上がったのをいまでもよく覚えています。会社は不都合な情報を隠そうとしたことで、かえってアルバムを宣伝してしまったのです。
youtu.be

この歌は「アイ・シャル・ビー・リリースト」という、アルバム(カバーズ)にはない替え歌です(原曲はボブ・ディランの作品)。そして、このライブを納めたアルバム「コブラの悩み」は東芝EMIから発売されました。但し、この歌で表現されている歌詞(アルバムに掲載された歌詞)は、実際にライブで歌われている歌詞とある部分で改ざんしています。

日はまた昇るだろう 東の島にも
いつの日にか いつの日にか
自由に歌えるさ
(アルバムに掲載された「アイ・シャル・ビー・リリースト」の歌詞)

日はまた昇るだろう 東の芝にも
いつの日にか いつの日にか
自由に歌えるさ
(実際にライブで歌っている「アイ・シャル・ビー・リリースト」の歌詞)

歌詞の改ざんは問題ですが、アルバムの制作現場からはなんとかしてこの作品をリリースしたいという情念をも感じます。

情報リテラシーの欠如

RCサクセションのニューアルバムが発売禁止になったあのとき、物議をよんだのは次のふたつの事実です。

この事件から30年以上が経過した現在はどうなってるでしょうか。

「親会社への配慮」を言い方を変えると「強い権限を持った立場への忖度」です。「忖度」は話題を集め2017年の流行語大賞を受賞しました。忖度はいまでも変わらずおきている証です。

表現の自由」は、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の企画展が話題になったように「自由と不自由の境界線」をどこに置くべきかという認識は人それぞれで見解が分かれます。しかし、それをしっかり議論する民主的な風土は未だこの国にはありません。

きっとわたしたちは、多くの情報からしっかり考えて、正しいと思う情報を取捨選択する情報リテラシーが、昭和から令和に到るまで進化していないのでしょう。

RCサクセションはいまも「自由」を歌い続ける必要があるようです。