レッドオーシャン
小売業の競争は激化しています。いまは百貨店、総合スーパーの専門店化傾向が進んでいます。そこにAmazonのような巨大なe-コマースや、メルカリのようなネットの転売市場が混ざり、小売業は業態の垣根が無くなっています。各小売店はレッド・オーシャン市場にて血で血を争う展開です。
「レッドオーシャン」とは、過当競争のなか、競合がひしめき合い、激しい競争状態にある市場を指します。その反対が「ブルーオーシャン」です。これは他に競合相手のいない未開拓の市場を指します。
もちろん、アメリカン雑貨を販売するエムズ社もレッドオーシャンで戦っています。そして、そこに投入された「AIロボット・エムズ君」はこの「レッドオーシャン市場」の救世主に本当になることが出来るのでしょうか!?
- エムズ社とエムズ君が何かはこちらを参照してください。
AIロボットに期待される役割
ここで、前回のブログでエムズ社に投入されたAIロボット・エムズ君が改善した業務を簡単にまとめます。
www.three-wise-monkeys.com
業務 | 改善内容 |
---|---|
品揃え業務 | 経営者の視点にたち品揃えを提案した。 |
販売管理業務 | オーダを自動化して販売管理システムに取り込んだ。 |
顧客管理業務 | 顧客リストの名寄せと重要顧客を抽出した。 |
この改善内容を見ると、AIロボットには「作業者」としての役割と「アドバイザー」としての役割があります。「作業者」とは人間の手足となって働くことです。「アドバイザー」は、頭脳として人間をサポートすることを期待していると解釈出来ます。例えば「販売管理業務」では、オーダーを自動化して販売管理システムに取り込んでいます。お客様からの注文情報(オーダー)を販売管理システムに登録したり、販売管理システムから在庫引き当てにより算出された納期回答をお客様に伝えることはいわば単純作業です。仕事がマニュアル化され、それを支える情報システムがあれば、新入社員でも1週間くらいすればきっと出来る仕事です。
そんな単純作業をAIロボットに任せる意味があるかといえば、大いにあります。単純作業ができることと、単純作業を24時間365日、なんの不平・不満もいわずに行うことは違う資質です。単純作業こそいちばんロボットに向いた仕事です。
一方、「品揃え業務」で提示されている「経営者の視点にたち品揃えを提案する仕事」は、とても高度な仕事です。ロボットが経営者と同レベルの判断をしながら仕事を進めるのです。経営者といっても千差万別です。皆さんの勤めている会社の経営者はどのようなタイプでしょうか?職人気質な人、お金に細かい人、マネジメント大好きな人、前のめりに突っ張る人・・・AIロボットが経営者と同じレベルの判断をするには、サポートする経営者のタイプを見極め、その人に足りない部分を補っていくような振る舞いが必要です。
ですからAIロボットに会社のことをよく理解してもらう必要があるのです。
AIロボットのキャリアプラン
どのような会社でも新入社員に対して、はじめは単純な仕事を与えます。そこで現場に慣れてもらう必要があります。現場経験を積みながら、徐々に考える仕事にシフトします。それによって仕事の幅が広がっていくのです。
わたしの経験を書きます。わたしは1990年に大学を出て、あるメーカーの社内システムのエンジニアとして採用されました。はじめの仕事は三交代で汎用機を監視するオペレータでした。そこで、オンラインの監視、バッチジョブの管理、オープンリールやカートリッジの装着、出力帳票の配布をしていました。そんな仕事をしつつ、業務委託先の先輩からJCL(Job Control Language)の作り方を教わっていました。
当時はSIS(戦略情報システム/Strategic Information System)という言葉が流行っていたので、空き時間に「SISとは何ぞや?」の学習をしながら、いずれはこんな仕事が出来るといいな〜なんて思ってました。これは当時のSISの宣伝です(トシちゃんのスーツにバブルの残り香を感じます)。
いま、わたしがオペレータの仕事をするのは、肉体的にも精神的にも厳しいと思います。でもあの時の現場感覚があるからこそ、システムエンジニアとして長い間、仕事を続けられている要因だと思います。
AIロボットも初めは単純作業で力を発揮してもらい、徐々に高度な判断を要求される仕事を与えていくことがいいでしょう。AIロボットも社員のひとりとして成長するようなキャリアプランを描きましょう。この成長を図で書くとこうなります。