トイレットペーパー品薄騒動から
3月のはじめ頃、電車に若い人が乗ってきて、わたしの横に座りました。その人はトートバックを抱えていたのですが、ちょうどわたしの視野からその人のバックの中が見えました。そしてそこに異物を見つけました。これはその再現イメージです。
トイレットペーパーがバックの中にむきだしで入っていたのです。このとき、ドラッグストアやスーパーの店頭でトイレットペーパーが品薄というニュースが出回っていました。
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わたしはバックにあるトイレットペーパーについて考えました。おそらく公衆トイレから持ち出した物でしょう。しかし、不信感は持ちませんでした。もちろん、公衆トイレからトイレットペーパーを持ち出すのは不正です。しかし、その人の立場にたって考えると、単なる不正とは感じませんでした。
わたしは見知らぬその人の状況をわたしに置き換え、こんな妄想をしました。
そして、駅のトイレにはトイレットペーパーの予備がありました。わたしはこれを持ち出すか迷いました。それが悪いことなのは分かっています。しかし、トイレットペーパーを手に入れる方法が他にありません。あくまで予備なので、わたしがこれを持ち出しても、次に入ってくる人は困らないでしょう。きっと数時間もしたら、業者からトイレットペーパーは補充されるでしょう。わたし以外にも持ち出す人はいると思います。もしかしたら、このトイレットペーパーは天の恵みかもしれません。

本質はここだと思います。
- トイレットペーパーが無くなるというデマに踊らされ、消費者が買いだめをしたこと。
- 不測の事態が発生したとき、物流がボトルネックとなり、必要な場所に必要なタイミングで必要な物が供給が出来ないこと。
不正のトライアングル
「人はなぜ不正を働くのでしょうか?」ーこの疑問に対し、よく取り上げられるのが「不正のトライアングル」です。これは米国の犯罪研究者であるドナルド・クレッシーの提唱によるものです。それは不正が行われる条件は「機会」「動機」「正当化」の3つの要因がそろった時に発生するという理論です。
この理論にしたがって、公衆トイレにあるトイレットペーパーを持ち出す不正行為について考えてみます。
- 機会は不正が発生する可能性のある状況を指しています。公衆トイレに置いているトイレットペーパーは簡単に持ち出しが出来ます。不正の機会に溢れていると言えるでしょう。
- 動機はプレッシャーとの関係が深く、不正を犯す必要性を指しています。自宅のトイレのトイレットペーパーが底をつき、店に行っても手に入らないことはプレッシャーとなり、公衆トイレのトイレットペーパーを持ち出す要因になります。
- 正当化は文字通り不正行為をを正当化する志向性を指しています。公衆トイレにある予備のトイレットペーパーを持ち出しても、次に入ってくる人は困らないという責任逃れの発想です。
「不正のトライアングル」の理論では、3つのうち1つでも欠けると不正は起きないことになります。
Twitterでこんなのを発見しました。機会を排除する苦肉の策ですね (*_*)
トイレットペーパーに鍵ってなー…。
— TSUYOSHI.T.244xxx (@244_13) 2020年3月29日
そんな時世なんやなー。 pic.twitter.com/leSq2TDDfO