事業譲渡
わたしは社員、パートナーあわせて30人程度の小さなSES(システムエンジニアリングサービス)事業を運営していました。しかし2年ほど前にその事業は別な会社に譲渡されました。わたしは事業譲渡により人材派遣をメインとしている新しい会社に移りました。
事業譲渡とは、M&Aのひとつで売り手企業の事業を、買い手企業に現金と引き換えに譲渡することです。
ちなみにM&Aは事業譲渡以外にも次のような種類があります。
種 類 | 説 明 |
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株式譲渡 | 売り手企業の株を買い手企業に譲渡すること |
合併 | 2つの会社をひとつにすること |
事業譲渡 | 売り手企業の事業の一部又は全部を買い手企業に譲渡すること |
会社分割 | その会社の全部又は一部を他の会社に継承すること |
わたしは事業運営の立場でしたので譲渡の話は、他の社員に比べて早くから聞いていました。こころ苦しかったのはその話を譲渡ギリギリになるまで社員に話せなかったことです。
わたしの頭の中はー
でいっぱいでした。
もっとも事業譲渡ですので、会社が変わっても社員の仕事は変わりません。ですので会社に対する思い入れがなければ、譲渡でショックを受けることは少ないかもしれません。ただ、わたしは事業を運営するため多くの社員の採用に関わっていました。彼ら彼女らがどのような動機を抱いて入社を希望したかの話を聞いてます。結果的に他の会社へ現金と引き換えに譲渡されることにわだかまりを感じました。
派遣とSES
もともと人材派遣業は少ない資金で手っ取り早く儲けることが出来るビジネスです。「人を集める→お客様に派遣する→売上を得る」というシンプルな構造ゆえ、机と電話があれば出来ます。電話だけでエンジニアを確保し、彼らと顔合わせすることもなく、お客様先に何十名も派遣する強者の営業マンもいます。
しかし、時代は変わりました。いま派遣会社(労働者派遣事業)を設立するには、資本金が2,000万円以上ないと厚生労働省の許可はおりません。これがなければ、派遣でエンジニアを常駐することは出来ません。
ただし、SES契約(準委任契約)としてエンジニアをお客様先に常駐させることは出来ます。ならば、SES契約で常駐させればいいという考えも出来ますがそこに壁があります。
一人でSES契約によるお客様先常駐は違法行為にあたります。SES契約においては、お客様はSES契約の管理責任者に仕事の話をします。そして管理責任者の指示で作業員が仕事をします。もし一人でお客様先に常駐させると、お客様が作業員に直接指示することと同じになります。もし、一人でお客様に常駐する場合は、派遣契約しか出来ません。
従って、労働者派遣事業を持っていない会社がお客様先にエンジニアを常駐させる為には、最低でも2名の社員エンジニアを提案し送り込む必要があります。元々わたしがいた会社は派遣を本業としていませんでした。その意味で派遣会社への事業譲渡(M&A)は時代の流れだと思っています。
インサイダー取引
わたしが事業譲渡の話を聞いても同僚に話せなかったいちばんの理由は、それによってインサイダー取引に引っかかる可能性があるからです。わたし自身は株をやらないので、事業譲渡という重要事実を事前に知って、関係する会社の株を購入することはありません。しかし、金融商品取引法では「会社関係者が上場会社等に係る業務等に関する重要事実を知りながら、重要事実について公表がされたこととなる前に他人に利益を得させ、重要事実を伝達し売買等を勧めてはならない(第百六十七条の二)」とされています。
重要事実を他人に話すもの問題があるのですね。こちらの動画で重要事実について分かりやすく解説されています。
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